CL3連覇の主役たちは劣化していた!レアル敗退には歴史的意義がある

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

 チャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦で、レアル・マドリードがアヤックスに敗れた。第1戦のアウェー戦を1-2の勝利で折り返したが、サンティアゴ・ベルナベウで行なわれた第2戦に1-4(通算3-5)で敗れ、CL4連覇は夢と消えた。

アヤックスに1-4の大敗を喫したレアル・マドリードアヤックスに1-4の大敗を喫したレアル・マドリード この敗退劇が意義深く見えるのは、番狂わせを許した相手がチャンピオンズカップ時代に3連覇を達成(1970-71、71-72、72-73)したアヤックスであることだ。3連覇を達成したチームは史上3チームしかない。レアル・マドリード、アヤックス、バイエルン。つまり、自らと同じ名門御三家のひとつであるアヤックスに、レアル・マドリードは敗れたことになる。

 アヤックスが3連覇した当時のエースはヨハン・クライフだった。その直後、アヤックスで3連覇の礎を築いた名将リナス・ミヘルスの後を追うようにバルセロナに移籍。選手として、そして引退後には監督として、バルセロナというクラブの理念構築に計り知れない影響を及ぼしたミスターバルサである。

 攻撃的サッカーを謳うアヤックスの精神は、その結果、バルサにそのまま引き継がれることになった。歴史的には、アヤックスを本家とするならば、バルサは分家に相当する。

 1991-92シーズン、バルサに初めて欧州王者のタイトルをもたらしたのもクライフで、2005-06に2度目のタイトルをもたらしたのも、アヤックス出身のフランク・ライカールト監督とヘンク・テン・カーテ助監督のコンビだった。

 その間に監督を務めていたルイス・ファンハールは、バルサでは結果を残せなかったが、アヤックス監督時代の1994-95、欧州一に輝いている。チャンピオンズカップがチャンピオンズリーグに名称を変えたのは1992-93からになるが、この優勝は少なくともCL史上、もっともインパクトのある画期的な出来事と言えた。

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