欧州CLマニアック鼎談。達人たちが注目したのは物議をかもしたVAR

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倉敷 勝敗を分けたのは選手層の差が大きかったように思います。マドリーは60分にカリム・ベンゼマが先制ゴールを決めた直後にベイルに代えてバスケスを入れ、同点に追いつかれる直前にベンゼマと交代でマルコ・アセンシオを、1-1の状況で迎えた81分にはヴィニシウスに代えてマリアーノ・ディアスを起用しました。前線の選手を3枚代えたわけですが、それに対して、アヤックスは73分にMFラセ・シェーネに代わって同じデンマーク人のFWカスパー・ドルベリを投入したのみです。ベンチには監督が使いたくなる選手がいなかった、というのが実情でしょう。

 たしかにアヤックスは決定力に欠ける弱点がありますが、それでも欧州5大リーグで優勝を狙えるレベルのチームでやっていける選手が何人もいることは示せました。たとえばタグリアフィコです。彼はこの試合で、カルバハルに負けない強さを持っていることを証明できました。サイドバックのポジションが負けていなければ、マドリー相手でも勝算はあります。

 逆にマドリーのサイドはどうだったでしょうか? 左サイドバックにレギロンを使ったほうがいいのか、マルセロなのかという議論はありますよね。前線にヴィニシウスがいるかいないかでも、意見は変わってくるでしょう。

小澤 現在の流れで言うと、ヴィニシウスに左サイドでスペースを与えて1対1で勝負させるのが戦術となりつつありますので、左サイドバックにはあまりサイドを駆け上がることが求められていません。とはいえ、レギロンはインナーラップがうまくなっていきていますし、マルセロはそもそも外でも中でも使える攻撃的サイドバックですので、ヴィニシウスとの相性はどちらでもいいとは思います。

 今レギロンが使われているのは純粋にマルセロのコンディション、パフォーマンスが上がってこないからでしょう。ただ、チャンピオンズリーグのような舞台だとマッチアップする選手のレベル、あるいは逆サイドからのクロスの対応といった部分で、レギロンがウィークポイントになる可能性はあると思いますが。若くて将来性ある選手ではありますが、まだ今季はBチームでスタートしてソラーリ監督によってトップでチャンスをもらったばかりの若手ですので、経験も選手としての格もまだこれからです。

中山 同感です。たとえば、このまま勝ち上がってマンチェスター・シティ、リバプール、バイエルンといった相手と対戦するとき、果たしてヴィニシウスやレギロンがどこまでできるのかは未知数ですね。優勝を目指すとなると、大一番で違いを生み出せる選手の存在がカギを握るのがチャンピオンズリーグであることを考えると、クリスティアーノ・ロナウドがいなくなった今シーズン、マルセロが違いを生み出せる数少ない選手のひとりであることは間違いありません。仮に現状のまま左サイドをレギロンとヴィニシウスのコンビで戦ったとすると、それなりの実力を持つ相手であれば、その2人にそれほど恐怖を感じないのではないでしょうか。

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