低レベルで安定してしまったバルサ。これではCLは勝ち切れない (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 バルサの前線には、右からエトー、メッシ、ティエリ・アンリの順で並んだ。ディフェンス力が低いメッシを右ウイングに置けば、対峙するマンUの左SB、パトリス・エブラの攻撃参加を許すとグアルディオラ監督が考えた結果だと思われるが、現在のバルサにこの種のこだわりはまるでない。

 左右の高い位置に両ウイングを置く3FWは、バルサの伝統的なスタイルだった。ネイマールが所属していた一昨シーズンまで、そのスタイルはなんとか維持されていたが、監督がエルネスト・バルベルデに代わるや一変。メッシ、ルイス・スアレスを前線に置く2トップサッカーに変貌した。

 左サイドハーフには、ネイマールに代わって獲得したコウチーニョが座った。しかしこの選手はサイドアタッカーではない。居心地のよさを求めて真ん中に入る傾向が強い中盤タイプの選手だ。

 バルサに入団したばかりのネイマールも同じだった。ポジションを守ろうとしなかった。しかしその癖は1年後にすっかり改善されていた。バルサの伝統的な3FWのスタイルに適合していた。

 だがコウチーニョンは、バルサ入りして1年以上経過しても、当初と変わりがない。また右サイドも、スアレスとメッシがポジションチェンジを繰り返すことで、穴ができにくかった、かつてのようなこだわりがなくなっている。

 リヨン戦。左サイドハーフでスタメン出場したのは、コウチーニョよりFW色、サイドアタッカー色の強いウスマン・デンベレだった。布陣はいつもの4-4-2より4-3-3に近づいた。

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