堂安律が目指すもの。
「世界中どこでも気づかれる存在になる」

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 アジアカップでの堂安は、仕掛ける姿勢こそ数多く見せていたが、狭いスペースしかない状況に苦労していたという。

「正直な話をすると、アジアカップの時は対戦相手が僕のことをあまり知らない状況でした。エールディビジだと、僕のカットインは読まれているので、逆に縦に行きやすい状況を作れる。

 ただ、その分、(クロスを上げるために)右足の精度を上げないといけない。前半は何本か右足のクロスがありました。試合ごとに、幅の広い選手になってきていると感じています」

 この日、堂安が打ったシュートは5本。ゴールキーパーと1対1となる場面もあっただけに、1本は決めておきたかっただろう。

「やっぱり(試合途中で)失速しちゃうところがある。あそこを決めきれる選手にならないと......。たとえばソン・フンミン(トッテナム・ホットスパー)だと、最後に相手をブチ抜いて点を獲る能力があります。そういう選手がアジアにいるから、僕も負けていられない」

 フェイエノールトとの試合中には、堂安が出演した『情熱大陸』が放映された。試合後には多くのメッセージを受け取ったという。『情熱大陸』の取材対象は20歳以上と決まっている。堂安が20歳になったのは昨年6月で、取材開始が3カ月後の9月というから、制作サイドは堂安が20歳になるのを待っていたのだろう。

「小さい頃からの夢の番組だったので、出られてうれしい。ちょっとでも俺の性格を知ってほしい。サッカー選手としてだけでなく、人として『堂安律は面白いな』と思われるように。そういうドキュメンタリーに出演することができたのは、自分のためになると思います」

 彼が目指すのは、「世界中のどこを歩いていても、『堂安だ』」と気づかれる存在になることだという。

「ありがいたい話ですが、今、日本なら道を歩いていれば、ある程度『ああっ』ってなる。(正体が)バレたいというわけじゃないんです。ただ、道を歩いていて(気付かれないと)、『俺のこと、知らないのか。俺もまだまだだな』と思うだけなんです」

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