乾貴士、リーガ通算99試合出場。古巣との対戦で「幸せな時間」を語る (2ページ目)

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koich
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

「レバンテ戦のパフォーマンスのほうがよかったことは間違いない。自分の好きなプレーをしてくれた。だが、アウェーでは、どうしてもチームは守備的な戦いをしないといけない。もっとシュートを打つなど、攻撃的なプレーを見たかったが、その点から言えば十分に満足できる出来だった。またホームのメンディソロサでは、今日とは違うもっと乾の色が出た試合をしてくれるだろう。それは間違いないと確信している」

 難しいスタジアムであるベニト・ビジャマリンで、しっかりとベティスの左サイドをケアし、勝ち点1獲得に貢献したことに合格点を与えた。

 自身のパフォーマンスについて、乾は「もう割り切ってやるしかなかった。戦い方として守備から入ることをチームとして徹底していた。自分だけがひとりで前から行っても意味がない。チームに迷惑をかけることになる。気持ちを抑えながらやっていた」と振り返っている。古巣にいいところを見せてやろうというエゴを抑えて、チーム戦術に徹したということだ。

「やりにくいものはすごくあった。でも、意外に楽しかったという気持ちもあった。こういうのもありなのかな、と思いました」

 この試合で、乾は元チームメートと何度となくハグをかわしていた。

 試合前の挨拶でも、ひとりひとりと抱擁を交わし、試合中も対峙したアンドレス・グアルダードと口元を手で抑え、話をするシーンが見られた。後半38分に交代したが、ピッチを去る際、交代したディエゴ・ロランに大きなブーイングが飛ばされたのに対して、乾にはスタンドから再び大きな拍手が送られていた。試合後も、ベンチからそのままロッカールームに戻るのではなく、ピッチの上でマルク・バルトラなどとアラベスでの近況を話し、抱き合っていた。

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