内田篤人の轍を踏まないために。大迫勇也をめぐるクラブと代表の関係 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Fujita Masato

 12日になり、ブレーメンからは、フランク・バウマンSD(スポーツディレクター)の話が公式サイトであらためて発表された。

「大迫はアジアカップ準決勝、決勝とプレーできており、その試合で負傷が悪化したわけではないのに、戻ってきてから(ドイツ杯とリーグ戦で)プレーできていないことに驚いている。もちろん我々はこの状況に満足していない」

 さらに、「昨年のロシアW杯とアジアカップに参加したことで、コンディションを整える機会を逸した」「コパ・アメリカへの参加を拒否することをサッカー協会に伝えた」としている。

 選手本人の立場からすれば、もちろんブレーメンでの試合に出たいし、日本代表に呼ばれれば、それにも出たいと思うだろう。大迫は、森保ジャパンがスタートした昨年9月の合宿に招集されなかった際も、「呼ばれれば行きました」と、前向きだった。普段欧州で戦っているからこそ、日本代表で仲間と会うのは楽しみでもある。

 一方、クラブからすれば、給料を払っているのは自分たちだという思いは強い。選手の動向に関して主導権があるのはクラブだと主張するのは自然なことだ。代表の活動中にケガをされてはたまったものではない。

 ルール上は、代表側には選手を招集し、プレーさせる権利がある。選手がプレーしたいと望む以上、メディカルスタッフはなんとか試合にコンディションを合わせようと努力するのが当然だ。また、海外組の代表選手の場合、日本で手術やリハビリを行なうとなれば、面倒を見るのは日本協会となる。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る