CL4連覇へ前進。レアルにバランスをもたらした18歳ヴィニシウス (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 ヴィニシウスは昨年の11月にBチーム経由でトップチームに合流するや、左ウイングのポジションを確保した右利きの左ウインガーだ。「典型的な」と添えたくなるこのサイドアタッカーの加入で、レアル・マドリードのサッカーは劇的に変化した。それに伴い成績も上昇。この試合でもその本領を発揮した。CL4連覇に向けて欠かせない救世主的な存在になっている。

 ジダン時代の後半はイスコが台頭。左サイドで使われたが、プレーは中盤的で、真ん中に入り込む傾向があった。バランス的に問題を抱えていたが、それでも欧州一に輝いた。クロスティアーノ・ロナウドという特別な存在がいたこともあるが、彼がいなくなった今季こそ、問われるのはバランスになる。

 そこでイスコではなくヴィニシウスを選択したソラーリ。ネイマールを放出した後、どこかイスコ的なコウチーニョを左で起用するバルセロナのエルネスト・バルベルデ監督より、バルサ的だ。現在のバルサより、そのサッカーは3FWの色をピッチに色濃く映し出している。

 しかし、その強そうに見えるレアル・マドリードに対し、アヤックスは食い下がる。後半30分ジエクが同点ゴールを叩き込んだ。結局、試合終了3分前にマルコ・アセンシオに勝ち越しゴールを許し、1-2で敗れたが、拍手を送りたくなる美しい負けっぷりだった。

 サンティアゴ・ベルナベウで行なわれる第2戦、アヤックスに逆転の目は多く残されていないだろうが、試合そのものは面白くなるはずだ。我々、日本のあるべき姿を見るような、必見の試合になること請け合いだ。

 ちなみに英国ブックメーカー、ウィリアムヒル社の優勝予想を眺めれば、レアル・マドリードの人気はまだ低く、マンチェスター・シティ、バルセロナ、パリ・サンジェルマン、ユベントスに次ぐ5番手(9倍)だ。これは「買い」ではないかと密かに思う次第だ。

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