CL4連覇へ前進。レアルにバランスをもたらした18歳ヴィニシウス (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 決定力がもう少し高ければという気もするが、この悩みも日本と共通していて、それでいながら、レアル・マドリードというビッグクラブと好勝負を演じるところに、逆に大きな魅力を感じるのだ。

 判官びいきではないが、この試合で最も違和感を覚えたのが前半36分のシーンだった。アヤックスに下されたゴール取り消しの判定だ。

 CLはこの決勝トーナメント1回戦から新たにVARを導入した。さっそく稼働することになったが、いったん認められたハキム・ジエクのヘディングシュートは、VARでオフサイドと判定されて取り消されることになった。

 厳密に言えばオフサイド臭いが、従来ならセーフだったであろうシーンだ。実際、レアル・マドリード側で、ゴールの判定に抗議した選手は誰もいなかった。見た目の印象を排除し、映像に100%頼った結果の判定だが、それではサッカー独特の味は失われる。

 しかしVARの普及は止まりそうもない。そういうものだと割り切る以外ないのだろうか。

 試合のハイライトは後半15分に訪れた。レアル・マドリードに先制ゴールが生まれたシーンだ。

 左のタッチライン際を走るヴィニシウス・ジュニオールの鼻先に、左サイドバックのセルヒオ・レギロンが縦パスを送った。フラメンゴからやってきた18歳は、ボールを受けるや、マーカーであるアヤックスの右サイドバック、ノウセア・マズラウイの内側へグイグイと切れ込んでいった。そして、打つぞ、打つぞと見せかけて、カリム・ベンゼマにラストパス。完璧なアシストとした。

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