ジーコもショック大...。フラメンゴのユース施設を襲った大惨事 (2ページ目)

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 クラブが生んだ最大のスターであるジーコは、昨年7月から鹿島アントラーズのテクニカル・ディレクターを務めており、日本に滞在中。「犠牲になった少年たちの多くのプレーをこの目で見ており、彼らの成長を楽しみにしていた。とても悲しく残念だ」というコメントを発表した。

 人一倍大きなショックを受けたのが、フラメンゴの下部組織育ちで、このトレーニングセンターで昨年5月まで練習を積み、時には選手寮にも寝泊まりしていたヴィニシウス・ジュニオール(レアル・マドリード)である。

 18歳にして世界クラブ王者のレギュラー・ポジションを獲得しつつある超逸材だが、悲報を聞いてひどく落ち込んだ。「自分がそこで過ごした日々を思うと、鳥肌が立ってくる。とても信じられない。犠牲者のために祈る」とコメントしている。

 フラメンゴはブラジルを代表するクラブのひとつであり、その名は世界中に知れ渡っている。今回の一件については、レアル・マドリード、バルセロナ、マンチェスター・ユナイテッド、バイエルン、ユベントス、パリ・サンジェルマンなどの欧州ビッグクラブや、ペレ、ディエゴ・マラドーナ、ロナウジーニョ、リオネル・メッシ、クリスティアーノ・ロナウドといったレジェンドたちが、こぞって哀悼の意を表明した。

 犠牲者の中には、ブラジルU-17代表のGKクリスチャン(15)や、ボランチのリケルモ(16)ら、将来を嘱望されていた有望な若者が少なくなかった。

 クリスチャンは自宅がリオ市内にあり、いつもは選手寮に寝泊まりしていない。しかし、親友のCBアルトゥール・エドゥアルド(やはり事故の犠牲になった)が寮生で、事故の翌日に15歳の誕生日を迎えることから、彼のために仲間と一緒にサプライズ・パーティーをしてあげようと考えて、この夜だけ選手寮に泊まった。それが彼の命を奪うことになった。

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