ジーコもショック大...。フラメンゴの
ユース施設を襲った大惨事

  • 沢田啓明●文 text by Sawada Hiroaki photo by Getty Images

 2月8日早朝、ブラジル最大の人気フットボールクラブ、フラメンゴのリオデジャネイロ西部にあるトレーニングセンターの下部組織選手寮で火災が発生。14歳から16歳の選手10人が死亡し、3人が負傷した(うち1人は重傷)。

 ブラジルでは、2016年11月、シャペコエンセの選手団一行を乗せて試合地のコロンビアへ向かう飛行機が、燃料不足のため山岳地帯に墜落し、選手22人を含む71人が死亡するという悲劇があった。フットボール界にとってはそれ以来の惨事だった。あまりの痛ましさに、テレビニュースのレポーターの多くは、涙を流しながら事故を伝えていた。

 火災から必死に逃げて生き延びた選手の証言から、選手寮の一室のエアコンが燃え、それが他の部屋に燃え移ったことがわかった。出火の原因はショートとみられている。

火災現場となったフラメンゴの施設を訪れた犠牲者の家族たち火災現場となったフラメンゴの施設を訪れた犠牲者の家族たち
 このトレーニングセンターには、昨年、筆者も取材で訪れている。17万㎡(東京ドームの約3.6倍)の敷地に、天然芝のピッチが5面、ハーフサイズの人工芝のピッチが1面、ゴールキーパー専用の練習ピッチが1面。スポーツジム、選手の宿舎、レストラン、リハビリ用のプール、医務室、リハビリ施設、更衣室などを備え、トップチームと下部組織の選手が練習を積んでいる。下部組織には11歳から16歳までの各年代と、17歳から20歳までのU‐20の計7チームがあり、200人余りの選手が在籍する。

 一見したところ、Jリーグのクラブでは考えられないような立派な施設と思えた。しかし、今回、出火した選手寮はプレハブ造りで、市の正式な建築許可を得ておらず、不正に建設されて使用されていたことがわかった。

 ロドルフォ・ランジン会長は、「クラブ135年の歴史で最大の悲劇だ。市、警察、消防署などによる事故の原因究明に協力するとともに、犠牲者の遺族のケアに全力を尽くす」と沈痛な面持ちで語っている。

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