シント・トロイデン6人目の刺客。190cmの木下康介とは何者だ? (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 そんな豊川のもとへ、彼と同じ1994年生まれの木下康介が「久しぶりだね」と挨拶に来た。ふたりはU-19日本代表で一緒にプレーした間柄だ。

「監督、"あの"マケレレだよね。自分のチームの監督がマケレレだなんて、ビックリしたでしょう」「うん、ビックリした」などと、ふたりは話し始めた。

 実は私にとって、木下は密かにスウェーデンに行って取材してみたいと思っていた選手だった。

 堂安律のいるフローニンゲンに、シモン・ティブリング(現ブレンビー/デンマーク)というスウェーデン人MFがいた。フローニンゲンの番記者のひとりは今も親交が深く、スウェーデンまで試合を観に行って現地でティブリングに会っている。そこで木下のことを知り、「すごい日本人ストライカーがスウェーデン2部リーグにいるぞ」と、私に教えてくれたのだ。

 木下がフライブルク(ドイツ)のセカンドチームに移籍したことは、ニュースになったので知っていた。しかしその後、彼がスウェーデンのハルムスタッズに移籍し、2年目の昨季、13ゴールを決めていたとは知らなかった。

 1月18日、シント・トロイデンは木下の獲得を発表した。だが、ベルギーでは「木下の選手登録は2月半ばまでかかる」と報道されていたため、公式戦に出るのはまだ先と思われていた。

 ところが2月1日の記者会見で、シント・トロイデンのマーク・ブレイス監督が「急に状況が変わり、うまくすると今日にも選手登録ができそうだ。さもなければ、来週のベフェレン戦になるだろう」と明かした。結局、木下は出場機会こそなかったものの、オイペン戦のベンチに座ることができた。

「スウェーデンで結果を出したので、ステップアップできるチームを探していました。シント・トロイデンは今、注目されているチームなので、ここで活躍できたらチャンスだなと思いました。話もうまくまとまったので、即決でした」

 木下はシント・トロイデンへの移籍の経緯を語ってくれた。しかし同時に、なぜスウェーデンでプレーしていたのかも知りたいところ。その事情を、木下はこう説明した。

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