レアルOBのイエロが思う日本の課題。「積極的なミスを褒めよう」 (4ページ目)

  • 栗田シメイ●文・撮影 text&photo by Kurita Shimei

――より高いレベルでの成長を求め、バルセロナの下部組織でスキルを磨いた久保建英(FC東京)や、現在もレアルの下部組織でプレーする中井卓大など、日本の若年層の選手たちがスペインのクラブに所属することも増えてきています。

「久保やピピ(中井の愛称)のような才能溢れる選手がスペインに来ることは大歓迎だ。将来、ふたりとも優れた選手になる可能性を秘めている。私はレアルの下部組織でプレーするピピを見る機会があったけど、彼はプレーだけでなく人間性もすばらしい。人間性もヨーロッパでプレーする上で重要な指標となるからね。

 どんなに才能がある選手でも、本人の努力とそれを伸ばす環境がなければ花開かず、ただの『うまい選手』で終わってしまう。そういった意味で、異国の地でレベルの高い競争の場に身を置き、それに適応することは必ずプラスになるはず。ただ、今の日本は、スペインから優れた監督や選手が入ってくる流れができ始めているね」

――昨年はアンドレス・イニエスタがヴィッセル神戸に、フェルナンド・トーレスがサガン鳥栖に移籍し、ダビド・ビジャも神戸で戦うことが決まりました。

「それは日本サッカーにとってすばらしいことだね。アンドレスやトーレスのような選手とプレーすることは、リーグのレベルアップにつながる。それを見る人たちも学ぶことが多いはずだ」

――また、ファン・マヌエル・リージョ監督(神戸)、ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督(セレッソ大坂)やルイス・カレーラス・フェレール監督(鳥栖)といった実績ある指導者も、Jリーグで指揮を執ります。

「個人的には、私の友人でもあるロティーナ監督のような傑出した指導者がJリーグで指揮を執るのは興味深い。(1992年から)20年近くリーガの最前線で監督を続けることが、どれほど大変かは説明不要だろう。彼を含め、スペイン人の特長は"フットボールへの理解度の高さ"だと考えている。身体能力で勝る強豪国と戦ってきたなかで蓄積された智恵があるからね。そんな土台の上で優れた能力を発揮してきた指導者、世界の頂点を知る選手たちが、日本サッカーを成長させてくれると思っているよ」

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