レアルOBのイエロが思う日本の課題。「積極的なミスを褒めよう」 (3ページ目)

  • 栗田シメイ●文・撮影 text&photo by Kurita Shimei

――日本の指導者が参考にするべき指導法などはありますか?

「練習メニューについてインターネットで検索すれば、無数にヒットする時代。多くの選択肢があるなかで、たとえば『(ジョゼップ・)グアルディオラ(マンチェスター・シティ監督)のような有名監督がこういった練習をしているから、自分のチームにも取り入れよう』という発想を持つ指導者がいたとしたら、それは"エゴ"でしかない。"名将"と称される監督たちは、なぜその練習が必要で、それをどう選手に伝えるかということに秀でているからこそ、チームを成長させることができるんだ。

 どんな指導が正しいのかは誰にもわらかない。ただ、選手やチームの現状を理解し、どんな練習が有効なのかを、指導者は常に考えなければいけないんだ。それにはデータの活用も重要だが、その点もヨーロッパのトップリーグのほうが進んでいるね」

――具体的に、データの有効な活用法とは?

「現代サッカーは、ほぼすべてのクラブ、ナショナルチームが選手を数値化している。試合でのタッチ数、プレーエリア、左右のキックの精度、身体能力、走行距離といったところまで、完全にデータベース化している。世界のトップレベルでは、13歳くらいの年齢からデータを取り続け、選手がどのくらい成長しているかも見ているよ。それを指導者が理解し選手たちに伝えることで、短所を改善し長所を伸ばすことにつなげている。

 そういったデータは、選手のスカウティングにも生かされているね。わかりやすい例として、バルセロナはあらゆる数値からチームが求める選手をはじき出し、もっとも必要だと判断されたアルトゥールを昨年獲得した。バルセロナのようにスタイルを確立したクラブは少し特殊なケースだが、トップリーグのスカウティングは、ほとんどがこのような形で行なわれている。

 それは対戦相手の分析にしてもしかり。指導者は自分が志向するスタイルや選手の特徴に合わせてチーム作りを行なうが、緻密なデータ分析と数値化された膨大な選手たちのデータから戦術を練っているんだ」

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