スペインのレジェンド、イエロが指摘する「日本と強豪国の差」 (3ページ目)

  • 栗田シメイ●文・撮影 text&photo by Kurita Shimei

――あなたの古巣であるレアル・マドリードは、ラ・リーガで首位のバルセロナから勝ち点8差の3位(2月4日時点)と苦しんでいますが、どこに問題点があるのでしょうか。

「今のレアルはDF面に明らかな問題を抱えている。昨季まで見られなかったゴール前での甘さや、中盤でのプレスがハマっていないことが戦術的にチームの穴になっている。

 去年までは、そういった問題点を得点力でカバーできたためDF陣の問題が顕在化しなかったが、今年は思うように得点できないことがチームの機能を低下させている。ただ、レアルのようなビッククラブでは、必ずこういった周期が訪れるものだ。私が現役の時も、そういった時期は何度もあったよ。勝利を義務づけられ、フットボールの外でも大きな影響力を持つクラブだけに、世間からの批判は受けとめなければならない。

 ただ、この不調は長くは続かないと見ている。監督の(サンティアゴ・)ソラーリとはよく連絡をとる間柄だが、彼は人格者でチームからの信頼も厚い。いろいろと試行錯誤しているようだから、状態は必ず上向くだろう」

――得点力不足との指摘がありましたが、やはりクリスティアーノ・ロナウド移籍の影響は大きかったのでしょうか。

「誰の目から見ても明らかなように、ロナウドのような傑出した選手がチームを去るとチームづくりを根本から見直さなければならない。10年間もチームのエースを務め、彼のゴールでレアルは多くのタイトルを獲得してきた。クラブの長い歴史のなかでも、間違いなく最重要人物のひとりだ。

 彼のように稀有な得点能力を持つ選手が移籍したことで、チームの得点力が落ちることはある意味必然だ。それだけスペシャルな存在であることに疑いの余地はない。ただ、クラブは新しいサイクルを迎えたということだ。ロナウドの代わりに、新たなチームの顔となる選手は自ずと出てくるよ。それがレアル・マドリードの哲学でもあり、積み重ねてきた歴史の重みでもあるのだから」

(後編につづく)

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