アジア杯に呼ばれずベルギー人は驚き。
鎌田大地が新ポジションで好感触

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 そう、ベルギー人にとって、鎌田がアジアカップを戦う日本代表のメンバーから漏れたのは、驚きだったのだ。

 しかし、アジアカップのタイミングは、鎌田がコンディションを落とした時期と重なっていた。昨年夏にシント・トロイデンに移籍し、秋までに急ピッチでコンディションを上げた鎌田だったが、12月半ばごろから疲労の色が濃くなり、パフォーマンスを下げてしまった。

 やはり、年末から年始にかけて鎌田はしっかり休息してリフレッシュし、所属クラブの冬合宿でコンディションを作り直す必要があった。そう、私は思っている。

 束の間のウインターブレークが明け、1月18日の「リンブルフ・ダービー」シント・トロイデンvsゲンクでベルギーリーグが再開。ピッチの上には、すっかり新鮮な気持ちを取り戻し、生き生きと動く鎌田大地の姿があった。昨年はシャドーストライカーのように前線に張ってゴールを狙っていた鎌田だったが、2019年のスタートはゲームメーカーとしてのタスクを担っていた

 開始28秒、鎌田のプレスを受けた相手DF がバックパスで逃げると、GKがボールを掴んでしまってシント・トロイデンに間接FKが与えられた。味方が短く蹴ったキックから、鎌田がシュートを放つ。それによって相手ゴール前で混戦となり、FWジョルダン・ボタカが蹴り込みシント・トロイデンが先制した。

 それから45分間、鎌田がシント・トロイデンの攻撃を指揮した。なかでも17分、自陣から鋭いスルーパスをストライカーのヨアン・ボリに通し、相手GKと1対1になる場面を作ったシーンは、彼の卓越した視野の広さとキック技術の高さが発揮されたものだった。

 1−1で終えた前半を振り返ったテレビスタジオの解説者たちは、「前半のベストプレーヤーは鎌田大地だ」と褒め称え、「これでアジアカップに行けないのか」というテロップが流れた。

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