打診は多数も、岡崎慎司は
「優勝メンバー」ゆえに移籍交渉が難航

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 もうひとつの理由は、岡崎が「奇跡のリーグ優勝」を成し遂げたメンバーであること。

 英ブックメーカーが「レスター優勝」に5001倍という超高倍率をつけながら、奇跡のリーグ優勝を成し遂げたのは3年前。そのなかで、岡崎は中心選手として戴冠に貢献した。しかし、レスターは優勝メンバーであることを理由に、安易には手放したくないのだという。岡崎は明かす。

「レスターとしては、(自分が)優勝メンバーということが一番にあるのかもしれない。(チームには)簡単に出さないという考えがある。優勝したメンバーはなかなか(難しい)」

 繰り返しになるが、岡崎とレスターの契約は今シーズン終了時まで。今夏にはフリーでクラブを移ることができる。しかも、今季リーグ戦の先発数はたったの1試合だ。

 また、レスターは今冬、イングランド2部で9ゴール&7アシストを記録したイングランドU-21代表ハーヴェイ・バーンズをレンタル先のWBAから呼び戻した。バーンズはトップ下やセカンドストライカー、左FWとしてプレーできるアタッカーで、前線の駒数は十分に揃った。

 それゆえ個人的には、優勝を成し遂げた功労者である岡崎の退団を認めるべきだと思うが、ここまでのところレスターは首を縦に振っていない。おそらくレスターとしては、優勝に導いた貴重な戦力であるからこそ、安価で譲渡したくないのだろう。そんな意向が透けて見える。

 振り返れば、優勝メンバーのひとりであるFWレオナルド・ウジョア(現メキシコ・パチューカ)も、レスターを退団する際に揉めに揉めた。

 リーグ優勝を果たした翌シーズンの開幕前、ウジョアは「新たなFWを獲得しない」と当時の指揮官であるクラウディオ・ラニエリ監督と約束を交わしていた。しかし、フタを開けてみれば、アルジェリア代表FWのイスラム・スリマニ(現フェネルバフチェ)を獲得。クラブ史上最高額となる2900万ポンド(約41億円)の移籍金を記録し、ウジョアは出番を失った。

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