なぜネイマールは敵をつくるのか。
チームメイト、監督、税務署...

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 こうしてネイマールはシミュレーションの常習犯のレッテルを張られてしまった。それがかの有名な「ネイマール・チャレンジ」(突然倒れて、地面を転げまわる)を生み出した要因のひとつでもある。

 彼は世界最高の選手になるよう、クリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)、リオネル・メッシ(バルセロナ)の後継者となるようプログラムされて生きてきた。しかし26歳になっても彼はいまだその域には達していない。メッシはその年齢ですでにバロンドールを4回獲得している。そして彼の後から、キリアン・ムバッペ(PSG)などのより若い世代が追い上げてきている。

 サントス時代のネイマールはまぎれもなく輝いていたが、その後のチーム選びは失敗だったと言わざるを得ない。バルセロナでの3年間は、ずっとメッシの陰にいることを強いられた。PSGには2億2200万ユーロ(約288億円)という前代未聞の金額で移籍したものの、カバーニがいた。彼と衝突することが多いネイマールは、扱いづらい選手というレッテルを貼られてしまった。

 ブラジル代表でも、勝ち取ったのはコンフェデレーションズ杯やオリンピックなど、サッカーの世界では二流のタイトルだ。W杯では常に失敗している。優勝した2016年の自国開催のリオ五輪でも、いいプレーを見せていたものの、準々決勝で深刻な負傷をした。ロシアW杯では大会前にケガをし、100%の体調では臨めなかった。

 5年前にバルセロナに移籍した時、ネイマールはあと1、2年で世界のトップになると思われていた。しかし2018年、FIFAの最優秀選手の候補10人に彼の名前はない。W杯の失敗も大きいが、候補者のなかにはモハメド・サラーのように、W杯ではたいして活躍しなかった選手の名もあるから、それだけが原因ではないだろう。

(つづく)

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