CL決勝トーナメント展望。3連覇中のレアルを止めるクラブはどこか (4ページ目)

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小澤 ユーベは鉄板ですね。これだけの選手層があって、システムも4バックでも3バックでも機能させることができます。また、中盤にブレイズ・マテュイディがいるので、ロナウドが攻め残りをして守備をしなくとも彼がスライドして左サイドの守備をひとりで担当できるというメリットもあります。さらにマリオ・マンジュキッチに加え、ここにきてパウロ・ディバラの存在感も際立ってきた点が大きいと思います。ディバラについてはぜひ亘さんにお聞きしたいと思います。彼の活躍ぶりをどのように見られていますか?

 彼はアルゼンチンからヨーロッパに渡って大成功した選手のひとりですね。すごく成長していると思います。これは彼だけに限った話ではありませんが、ヨーロッパのよいところは、やはりチャンピオンズリーグのような大きな大会があって、そこで大きく選手として成長できるところだと思います。

 現在ボローニャでプレーしているロドリゴ・パラシオなどはその典型だと思います。彼はキャリアのはじめはアルゼンチンの4部リーグでプレーしていて、その後に国内でステップアップしてボカ・ジュニオルスでプレーするようになりましたが さらにトップレベルに飛躍したのはヨーロッパに渡ったからだと思います。同様にイタリアのパレルモで爆発しパリ・サンジェルマンに移籍したハビエル・パストーレやインテルのグランカピターノ(偉大なキャプテン)ハビエル・サネッティも同様にアルゼンチン国内でプレーを続けていたらまたプレーの質は違っていたかもと思います。

 また、マンチェスター・シティのセルヒオ・アグエロもヨーロッパでプレーの質がより変化した選手のひとりだと思っています。彼はアルゼンチン国内では大人気のドリブルシュートが主体の選手でした。ところが、ヨーロッパの組織された守備のなかで工夫し自分のサッカースタイルを変えながら成長していったと思っています。スペインに渡りイングランドに活躍の場所を移すにつれ、どんどんゴール前のワンタッチプレーを増やしたんです。そしたらいつの間にかヨーロッパでも屈指のゴールゲッターに変身した。こういった成長を遂げた南米出身選手は他にもたくさんいて、その変化と成長を見ていくのもチャンピオンズリーグの楽しさのひとつになっていると思います。

倉敷 長く続けて見る楽しさですね。亘さんがラウンド16で注目しているカードはどれでしょうか?

 僕は、ひとつではなく3つあるんですが。

倉敷 なんとかひとつに(笑)。

 そうなると、僕もユナイテッドとパリ・サンジェルマンの対戦でしょうか。ただ、アトレティコ対ユーベ。クリスティアーノ・ロナウドがどれだけ偉大な選手であるか証明できる年になれるか。それからアヤックス対レアル・マドリーも注目しています。アヤックスのフレッシュな選手たちが、マドリー相手にどこまでやれるのか。もしかすると、まだサンティアゴ・ソラーリ新監督がチームを整理しきれていないマドリーに対し、アヤックスが金星を挙げてしまうのではないかという期待を込めて、注目しています。

 ユナイテッド対パリ・サンジェルマンでポイントになりそうなのは、パリが最近見せている効果的なカウンターですね。決勝トーナメントでは、これが効果を発揮しそうな気がします。システムも複数を使い分けていますし、ネイマールが下がってボールを受けポイント、起点を一度創ることで相手を食いつかせて、前線に空いたスペースをキリアン・ムバッペやエディンソン・カバーニが狙うこともできますし、そのなかでもとくにムバッペを使った高速カウンターが目立っています。

 どのようなシステムで、誰がどこでプレーするのかも含め、ユナイテッドにとってはかなり予測が難しい相手になっていると思います。分析するのが好きなサッカーファンにとってもとても面白い試合になるのではないでしょうか。

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