ネイマールを丸裸にする。市場価値ナンバー1の知られざる素顔 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 しかし、ネイマール側にはサントスの育成プランに則って成長するという考えがあったので、彼はブラジルに留まった。そして17歳にしてサントスのトップチームへ。それからの2年間は、ヨーロッパのクラブチームからのオファーが、雨あられのように降り注いだ。そこにはウェスト・ハム、チェルシー、レアル・マドリード、バルセロナ、ラツィオ、ポルト、フェイエノールトといった有名チームが含まれていて、どのチームも彼を獲得するためなら何百万ユーロという金を払う用意があった。

 有望な若手であるということが、ネイマールの人生を複雑にした。その混乱はその後も続く。当時のネイマールは、リオネル・メッシの地位をも奪えるもっとも有望な若手とされていた。その才能は彼をブラジル代表へと導き、ほどなくチームのキャプテンを任されるようになる。それも栄光の背番号10、ペレの番号を付けて、だ。

 2017年、パリ・サンジェルマン(PSG)が史上最高額で獲得した時も、誰も疑問は持たなかった。彼には世界最強の選手になる能力があるのだから。やがて花咲く能力が、明日にもブレイクする能力があるのだから......。

 しかし、ネイマールもすでに26歳だ。いつまでも「能力が......」とは言っていられない。大きな才能を持ちながらも、未だ開花することがない。いつのまにかネイマールは、一流選手と騒がれるだけで、実体のないものになってしまっているのではないか。

 ネイマールはわかっていないようだ。いくら金をもうけても、見事なドリブルを見せ、多くのゴールを決めても、笑顔を振りまいても、ダンスを披露しても......今日では、それだけで一流選手とは認められないということを。

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