森保Jの新主将、吉田麻也の決意。「自分が信じる道でリードする」 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 その代表で、吉田はキャプテンバンドを託されることになった。日本代表を束ねる主将として初めて国際主要大会を戦うことになるが、本人は「気負うことはない」と言う。その真意を次のように説明した。

「今までやってきたことの結果として、キャプテンをやることになったと思っているので。キャプテンになったから『じゃあ、何かしましょう』ということはないです。

 今までやってきたとおりのことをやって、それを積み重ねていく。その結果として、ここまでキャリアを築いてきたと思っているので。何かを変える必要はまったくない。それよりも、常に成長していかないといけない、ということです。

 長谷部(誠)さんがいたときに、(長谷部の)ケガで急にキャプテンを任されたときもあった。そういう時は気負ったりしましたけど、(今は)何かを変える必要もないし、長谷部さんのマネをする必要もない。

 もちろん、いいところはピックアップしていきます。長谷部さんのいいところ、(サウサンプトンで主将を務めたジョゼ・)フォンテ(現リール)のいいところなど、いろんな選手のいいところをピックアップして、自分が信じる道でリードしていけばいいと思っています」

 吉田はサウサンプトンで在籍7シーズン目に入り、「古株」と呼ばれるようになった。気がつけば、吉田も30歳。2シーズン前から、サウサンプトンでゲームキャプテンを務める試合も増えた。

 ウェストハム戦で主将を務めることはなかったが、それでもDFラインを統率し、必要とあらば大声を出して味方を鼓舞した。19歳のフランス人DFヤン・ヴァレリーを奮い立たせようと、激しく檄(げき)を飛ばすシーンもあった。

 日本代表の主将として、吉田は「今までやってきたとおりのことをやる」と言う。実は、この言葉はかなり深いのではないか。

 サウサンプトンではリーグカップの決勝を経験しながら、昨シーズンは胃が痛くなるような残留争いをチームメイトと戦い抜いた。過去にはマウリシオ・ポチェッティーノ(現トッテナム・ホットスパー)やロナルド・クーマン(現オランダ代表監督)といった前監督たちの薫陶を受け、欧州リーグにも身を置いた。そして、2度のW杯を経験──。もちろん、今もなおプレミアリーグの精鋭たちとしのぎを削っている。

 吉田が培ってきた経験は、アジアカップを戦う日本代表にとって間違いなく大きな力になるはずだ。

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