南米目線でサッカーを見ると、日本では想像できないことの連続だ (4ページ目)
小澤 間違いなく没収試合になるでしょうね。しかも浦和には重いペナルティが課されることは間違いないと思います。
亘 でしょうね。こういったことも南米の恥ずかしい実態なんですけど、とにかく優勝するためにはいろいろな障害を乗り越えなければならないというのが、リベルタドーレスというタイトルなんだと思います。
小澤 それらいろいろなハードルを乗り越えて、結局、第2戦はマドリードでの開催に決まりました。そのときの両チームの反応はどうだったんですか?
亘 リーベル側は、やっと試合を開催するところまで漕ぎつけた、という感じでしたね。できればホームでやりたいけど、さすがに今回は難しい。マイアミや中東などいろいろな候補地が挙がるなか、マドリードのサンチャゴ・ベルナベウなら収容人数も多いので、リーベルもコンメボルもモニュメンタルで開催するよりも収益が上がると踏んだわけです。たとえ遠いマドリードで試合を開催することになっても、おそらくサポーターはやって来るでしょうし。
小澤 実際、モニュメンタルの入場チケットはマドリードでも有効になったんですか?
亘 そこもまだはっきりしてないのですが...。おそらく、サポーターはもう一度チケットを買い直したんじゃないかと思います。
小澤 マドリード開催になったことについては、ボカのファンにとっても悪い話ではないですよね。モニュメンタルならアウェーサポーターは入場できませんが、これで世紀の大一番を見ることができるわけですから。
亘 そう、そこが大きかった。だから、第三国で開催するという落としどころで収まったというわけです。つまりリーベルとしては「しめしめ、没収にされなかった」と考え、開催するにしても第三国となったので「我々は譲歩した」という話になる。本当だったら、リーベルは1戦目にボカのファンばかりの中で試合をしたのに、2戦目は両方のサポーターが入るなんて不公平だという話になるはずなんですが、彼らはそう考えません。あくまでも「俺たちはボカから逃げないで試合をしますよ」という話になるんです。
小澤 僕はちょうどその時期に1週間ほどスペインに滞在していたんですけど、スペイン国内では、とくにボカのバーラブラバがやって来るという報道が出ていました。具体的に、マキシ・マッサーロ、ラファエル・ディ・ゼオといった中核メンバーが大きく紹介されていましたし、実際にマッサーロはマドリッドのバラハス空港のイミグレーションで引っかかって、強制送還となりました。一方、ディ・ゼオは犯罪歴があるのでアルゼンチンから出国できないはずなのですが、なぜか12月7日から12日までの出国許可書が与えられていたようで、スペイン国内では「そんなことがありえるのか?」と報じられていました。
亘 それがインチャなんです(笑)。なかなか日本人には理解できない話ですが。
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