2018.12.16

中島翔哉の喜びはファンの喜び。ポルティモネンセに華を添える

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi photo by Getty Images

 試合後にその点を問われると、「去年からそういう時間はありましたし、それは自分のポジショニングの部分の問題でもあります。いい場所にいれば、チームメイトがボールをくれるので、そこはどんどん改善していきたいと思います」と語っている。ボールを触ることは彼の喜びであり、その姿を見るのがファンの喜びでもあるのだ。

この日は空席があったポルティモネンセのホームスタジアムphoto by Igawa Yoichi 仲間からの信頼も確実に得ているようだ。35分にはGKからのフィードに抜け出し、左サイドから高精度のクロスを送り、走り込んだエベルトンがダイレクトで合わせ、バーを直撃。その3分後には、CBルーベン・フェルナンデスからの鋭い縦パスにも走ったが、これは微妙な判定のオフサイドに。その後、もうひとりの攻撃の核、ジャクソン・マルティネスが左SBウィルソン・マナファの折り返しを丁寧に合わせ、ポルティモネンセが2-0のリードを奪って前半を終えた。

 ハーフタイムに、記者席の隣に座っていた『InPLay Sports Data』のジョゼ・マラン記者に声をかけて、中島の印象を訊いてみた。すると、彼は「自分はポルティモネンセのファンではないけどね」と前置きをしたうえで、次のように話してくれた。

「テクニックとスピード、そして何より知性のある選手だよね。ファンタスティックなアタッカーだと思う。私はポルティモネンセでの彼の最初の試合を観ている。カップ戦(2017年9月2日のチャバス戦)で、前半はあまり見どころのない試合だったけれど、後半から中島が投入されて、一気に華やかになった。実際、同点で迎えた後半に、ポルティモネンセは2点を加えて逆転勝利を収めたんだ。中島の1年半を見続けることができて、私は本当にラッキーだよ。ここの多くのファンが私と同じ気持ちだと思う」

 試合が再開するとともに、ポルティモネンセは中盤のアンカーを務めていたペドロ・サーに代えて攻撃的MFルーカス・フェルナンデスを投入し、中盤の構成を逆三角形から正三角形に変更して仕上げにかかる。すると58分には、そのフェルナンデスから中島にボールが渡り、再び絶好のクロスを上げて、マルティネスの2点目をお膳立てした。

 その2分後に1点を返されたものの、試合はそのまま3-1で終了。中島も「前回(ポルト戦)は先制しながらも逆転負けしてしまったんですけど、今回は先制してしっかり勝ちきれてすごくよかったと思います」と振り返っている。「急いでいる」ということで報道陣への対応を早々に切り上げ、夜のとばりが下りたのどかな街に去っていった。