リバプールのCLギリギリ勝ち上がりは、2005年の「奇跡」再現への吉兆 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 心強いサポートを受けたリバプールは序盤から攻勢をかけ、早々に決定機が訪れる。だが、アンディ・ロバートソンのクロスをボックス内で受けたモハメド・サラーはファーストタッチに失敗し、絶好のチャンスを逸してしまう。

 昨季のプレミアリーグ得点王兼MVPは今季、開幕からの全公式戦11試合で3得点と不振に陥っていた。だが秋も深まり始めた頃から調子を取り戻し、最近11試合では9得点。直近のプレミアリーグのボーンマス戦では、今季初のハットトリックを記録していた。この大一番に照準を合わせたかのように、コンディションを上げていたのだ。

 26歳のエジプト代表アタッカーは序盤のミスの後も、シャープな動きを披露し、34分には真価を発揮する。ジェームス・ミルナーのスルーパスに抜け出すと、ボックス右でカリドゥ・クリバリと対峙。それまでは抑えられていた相手を瞬時にかわした後、中央に目を向けてクロスを匂わせると、吊られたナポリのGKダビド・オスピナの股間に鋭いシュートを通した。過去にフィオレンティーナとローマ時代に6度対戦し、1ゴールしか記録できなかったナポリから、貴重なゴールを挙げたのだった。

 リバプールは思い描いたとおりに1点をリードしたものの、一度でも失点すれば、文字どおり形勢は逆転する。緊張感の張り詰めるなか、守備の大黒柱フィルジル・ファン・ダイクが幾度となく相手の攻撃を遮断。後半にはミドルを放つなど、攻撃にも積極的な姿勢を見せた。

 対するナポリは、戦前に指揮官が「こんなにすばらしいスタジアムでプレーするのは、うちの選手たちにとっても最高だ」と話していたが、実際には雰囲気に呑まれていたようなところがあった。あるいは、リバプールの猛烈なプレスと攻撃に圧倒されていただけなのか。

 サディオ・マネが何度か迎えた絶好のチャンスを決めていれば、リバプールはもっと楽に突破を決めていたかもしれない。最終的なポゼッション率はイーブンだったものの、シュート数はリバプールが22でナポリは8。試合終了間際には肝を冷やしたが、リバプールは勝つべくして勝ったと言える。

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