今季のバイエルンとレアルに共通する
「ビッグクラブゆえの悩み」

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小澤 ベンフィカ戦でもロッベンがキレのあるプレーを見せていましたが、コンディションさえ整えばバイエルンには世界トップレベルの選手たちが揃っているので問題はないと思います。それだけに、監督が早くチームに安定感をもたらすことができなければいけないと思います。ローテーションを使っていながら、選手の配置にしても本来はサイドバックのヨシュア・キミッヒをボランチで起用するなど、まだ手探り状態なのではないでしょうか。やはり国内リーグ戦で安定感を取り戻すためにも、監督が戦術や選手の配置をもう少し定めるところは定めてもいいのかなと思います。

中山 ローテーションの効果はシーズン後半戦に出てくるケースが多くて、たとえばマドリーをCL3連覇に導いたジダンは、国内リーグで勝てない試合が続いても、ブレずにローテーションを貫き通して最終的に結果を残しました。ただ、それと同じことをコヴァチができるのかというと、そこは疑問が残ります。

 ジダンは突出したカリスマ性の持ち主なので、選手から不満の声が出ることはありませんでしたし、批判的なメディアに対してもある程度コントロールできましたが、残念ながらコヴァチにそれはできません。すでに現在も選手の不満やメディアの批判にさらされているわけで、貫くことが逆に凶と出ることも十分に考えられます。

 それと、コヴァチについてはフランクフルト時代からシステムを使い分けるなど戦術家のイメージがあったのですが、ここまでを見ているとバイエルンでは3バックも採用していませんし、選手に遠慮しているのか、自分の強みをなかなか出せていないように見えます。そこが、中途半端に見える要因のひとつでしょうね。

倉敷 チャンピオンズリーグにおけるここ5シーズンの成績は3シーズン連続ベスト4の後にベスト8が1度、昨季はまたベスト4と、6シーズン前に優勝してからベスト4の壁を乗り越えられない状態が続いています。大事な時に故障や欠場で監督の第一チョイスの3人が前線に揃っていないなど、コンディションのピークをうまく持ってくることができていないのがここ数シーズンの傾向です。そこで気になるのは、相手チームにとって最大の脅威である"ロベリー"の2人です。彼らは徹底した自己管理ができる選手たちですが、故障も多いですね。

中山 多いです。年齢的に仕方ない部分はありますけど、もはやシーズンを通して活躍できる計算はできない選手だと思います。しかも今シーズンは序盤で故障者が続出して、ハメス、キングスレイ・コマン、ティアゴ・アルカンタラ、コランタン・トリッソも不在ですから、メンバー編成はかなり厳しい状況にありますね。かといって、冬の移籍マーケットで即戦力を獲得するとケガ人が戻った時に選手が溢れてしまうリスクもあるので、それも難しい。

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