ベルギー記者も大絶賛。遠藤航の「血と汗と涙」がハートを揺さぶる (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

「こういうインテンシティの高いゲームをいかにこなせるか。そこが自分自身の成長において大事なことなので、(プレーの強度を)落とさずに90分間行けるところまでやれるか、それを求めている。きつくなってくる時間帯でも、前に出ていくことを意識していました」

 74分にシント・トロイデンが3-1と2点リードしてからは、「チームとして『ブロックを敷いて守る』という戦術を取りました」と振り返った遠藤だが、「きつくなってくる時間帯でも前に行く」という姿勢は崩さず、83分には右サイドのオープンスペースへ攻め上がってクロスを入れた。

 さらに後半のアディショナルタイムには、6人がかりのカウンターに遠藤も加わっている。そう、きつくなった時間帯(しかもシント・トロイデンの勝利は確定していた)でも前に行こうとしたのは、遠藤だけではなかった。それを私は、ひと言で「チームスピリッツ」と呼ぶのだと思う。

 第2節ゲンク戦で途中出場した2分後にゴールを決めるという派手なデビューを飾った遠藤は、それから4試合続けてフル出場を果たした。しかしながら、現在のチーム内ステータスはセミレギュラーといったところか。時には戦術的な理由から、時には自身の不調から、先発メンバー落ちしてしまうのである。

 だが、困った時には、やはり遠藤だ。第10節のロイヤル・エクセル・ムスクロン戦の65分、スコアは1-1。アレクシス・デ・サートに代わって遠藤がピッチに入ると、試合の流れは完全にシント・トロイデンへと傾き、最終的にはチームを3-1の勝利に導いた。

 地元紙『ヘット・べラング・ファン・リンブルフ」』は遠藤に採点7をつけたうえで、「この試合で遠藤は『ゲームチェンジャー』だった。ブライス監督がより攻撃的なサッカーに舵を切った時、遠藤が(サミュエル・)アサモアとともにチームを引っ張った」と讃えた。

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