混戦CLで注目はアヤックス。オランダ勢で12季ぶりベスト16進出 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 右ウイングに右利きのいい選手がいるチームは、左右のバランスがいい。ルイス・フィーゴがいた時代のバルサとレアル・マドリードがその典型で、1994-95のアヤックスにも、フィニディ・ジョージというナイジェリア代表選手の右ウイングがいた。

 ネレスは、そういう意味では右サイドでのプレーを不得手にするブラジル代表の先輩、ネイマールより貴重な存在に見える。

 この他にアヤックスは19歳のマタイス・デ・リフト、21歳のドニー・ファン・デ・ベークら期待の若手を抱えるが、冬の移籍市場でビッグクラブに奪われる可能性もある。全員チームに残れば、最高ベスト4はあるかもしれないが、ひとり欠けるごとに可能性は萎む。

 移籍市場が閉じるのは1月末。アヤックスの今季の可能性は来年の2月にならないと正確には判明しない。とはいえ、直近ではグループ首位通過を懸けて戦う次戦のバイエルン戦に目を凝らしたい。アヤックスの力を占うには申し分のない相手。ちなみに1994-95のアヤックスは、準決勝でバイエルンを通算5-2で撃破。決勝でもその余勢を駆ってミランに勝利し、欧州一に輝いた。

 今季の欧州サッカーは、スーパーチーム不在だ。4連覇を狙うレアル・マドリードは、クリスティアーノ・ロナウドをあっさりユベントスに放出。その結果、成績不振に陥ると監督のフレン・ロペテギを解任と迷走中。バルサもさっぱり強そうに見えない。そのサッカーはずいぶん小粒になってしまった。

 となれば、順番的にはバイエルンになるのだが、国内リーグ戦では出だしで大きく躓き、流れに乗れていない。マンチェスター・シティもCL的なスケールで見ると、まだ何か足りない。昨季準優勝のリバプールと、金満クラブのパリSGは、グループリーグでナポリと三つ巴の接戦を展開中。現時点で、欧州一をイメージさせるサッカーはできていない。

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