混戦CLで注目はアヤックス。オランダ勢で12季ぶりベスト16進出 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 ただし、1994-95シーズンの優勝、さらには翌シーズンの準優勝も、欧州サッカー史にしっかりと刻印される画期的な出来事だった。大会の名称がCLに変更されてから今シーズンで26シーズン目を迎えるが、インパクトの度合いは、その時のアヤックスが断トツの一番だ。

 知名度の低い選手で固められたチームが、中盤ダイヤモンド型3-4-3を最大の拠りどころに、攻撃的サッカーで快進撃を続ける姿は痛快そのもの。予算規模の小さなクラブがビッグクラブに対して番狂わせを繰り広げるという、いまの欧州サッカーにはまったくない魅力を、当時のアヤックスは存分に振りまいていた。

 今季のアヤックスにそこまでの力があるかといえばノーだが、好チームであることは確かだ。両ウイングを使い、ボールの支配率を高めながらパスで崩すサッカー。見栄えのいい、目に優しいサッカーだ。

 中心は中盤の深い位置から組み立てるフレンキー・デ・ヨング。UEFAネーションズリーグの戦いで評価を上げているオランダ代表の期待の星でもある。身長180cmながら、動きは小柄な選手のようで、けれんみのないシャープなプレーを売りにする。姿勢がスッとしていて視野が広い。

 バルサの4番のポジションあたりが似合いそうな選手で、そのバルサや、現役時代にバルサで4番をつけてプレーしたジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティが、100億円以上とも言われるビッグマネーで獲得を狙っているという。いまもっとも旬な21歳だ。

 もうひとり、同じく21歳の右ウイング、ダビド・ネレスも特別な選手だ。右サイドでタテに抜いて出るプレーを得意にする右利きの選手は世界的に見ても貴重だが、このブラジル人選手は、そこが天職に見えるような切れ味鋭いドリブルを得意にする。

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