CLで元気がいいイタリア勢。セリエA復権の希望をナポリに見た (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by AP/AFLO

 好チーム度が、一時期よりさらに増した印象だ。最大のセールスポイントは前線に並ぶ3トップ。ドリス・メルテンス(左・169cm)、ロレンツォ・インシーニェ(中央・163cm)、ホセ・カジェホン(右・178cm)だ。サイズが小さいことは、身長を見れば、一目瞭然になる。日本代表で売り出し中の3人、中島翔哉(163cm/ポルティモネンセ)、南野拓実(174cm/ザルツブルク)、堂安律(171cm/フローニンゲン)に負けていないのだ。

 PSGの大型ディフェンダーには、彼らがボールを操作する姿が鬱陶しく見えているようだった。リズムが合わないというか、モグラ叩きゲームに興じるも叩き損ないを繰り返し、挙げ句、怒り心頭に発しているような印象だ。後半18分、トラップミスをカジェホンに突かれてPKを献上したチアゴ・シウバは、その典型的な存在だった。

 そうはいっても、両軍の選手のポテンシャルには大きな差がある。ネイマール、キリアン・ムバッペ、アンヘル・ディマリア、エディンソン・カバーニといったレベルの選手はナポリにはいない。それでいながら試合が1-1で終わってしまった理由は、大物選手の動きに連動性がないからだ。

 それぞれがピッチの各所で、自らのフィーリングを最大の頼りに単独で戦っているようで、攻撃に膨らみがないのだ。年々、好チーム度を高めているナポリとは、対照的な姿を晒している。いいときのバルサ、レアル・マドリードを見ているときに感じる、高級なサッカーを鑑賞している気にはなれない。

 そんなPSGをナポリが追い込む姿は、なかなか痛快だった。日本人受けするサッカーであり、日本の参考になるサッカーでもあるだろう。今季好調のナポリから目が離せない。

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