名前が挙がるグティ、コンテ...レアル監督にソラーリ昇格の可能性も (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

 ソラーリがそう語っているように、短期間で戦い方をいじるのが得策ではない。士気を高め、戦う集団にする。それだけで、格下には負けないだけの戦力は備えているのだ。

 その点、バジャドリード戦で際だったのは、ロペテギ時代に冷や飯を食っていた選手たちの闘争心だった。その筆頭が、右サイドバックのアルバロ・オドリオソラだろう。ロシアW杯のスペイン代表メンバーでありながら、クラシコでは本職ではないナチョ・フェルナンデス、ルーカス・バスケスの控えに回っていた。バジャドリード戦では、その鬱憤を晴らすかのように、リーガ最速ともいわれる俊足で、何度も防御網を切り裂いた。

 0-0で迎えたバジャドリード戦の後半には、ソラーリが果敢な采配を見せている。

 守備的な能力が高くアンカーを務めるカゼミーロに代え、攻撃的MFのイスコをトップ下に投入。右のオドリオソラ、左のセルジオ・レグイロンがサイドアタッカーのように高い位置を取って、2-4-1-3のような超攻撃的な布陣にする。さらにマルコ・アセンシオを下げ、3トップの一角にヴィニシウス・ジュニオールを入れ、肉を切らせて骨を断つような戦い方をした。

 そして、ソラーリはこの博打に勝った。
 
 83分、ヴィニシウスが強引に左サイドからペナルティエリア内に切り込み、思い切り蹴ったシュートが僥倖(ぎょうこう)をもたらす。密集したディフェンスのひとりに当たって、オウンゴール。10代特有の怖いもの知らずが「吉」と出た。

 88分にも、ヴィニシウスが出したパスをカリム・ベンゼマがエリア内に持ち込み、足を引っ掛けられ、PKの笛が鳴った。セルヒオ・ラモスがこれを、「パネンカ」といわれる相手GKの逆をつくキックで決めた。

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