「ビジョンが違いすぎた」。吉田麻也が語る王者マンCの強さの秘密 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by AFLO

 ベルナルド・シウバとダビド・シルバがサイドに開く。そうなると、(サウサンプトンの)前のアタッカーの選手がそこを切るじゃないですか。すると、今度は中央にスペースができてしまう。(サイドで)縦のスペースを切ると、中が空いてしまう。だから、どうやっても数的優位を作られてしまう。(サウサンプトンは)まったく展開できなかった。

 やっぱりシティは、なんとなくやって勝てるチームじゃない。選手のクオリティの差があるのは事実なので、そこは戦術とハードワークで埋めないといけない。ただ、サウサンプトンの戦術がハマらなかった。フィットネス的にも明らかに向こうのほうが質が高かった。セカンドボールもほぼ拾われた。

 しかも、彼らは3点を取って完全に手を緩めたというか。もう完全に(11月7日に行なわれる)チャンピオンズリーグを見据えている感じになった。相当、力の差があると思います」

 吉田は「中盤3人の質が全然違った。とくに彼がすごい」と、隣でクラブ公式サイトの取材に応じていたベルナルド・シウバを指さして称賛していた。ジョゼップ・グアルディオラ監督仕込みの戦術眼に加え、足もとの技術とドリブル突破力、スルーパスの精度と、たしかにポルトガル代表MFの出来は特出していた。

 さらに、徹底して細部にこだわるグアルディオラ監督にも感心したという。「試合中、グアルディオラは選手ひとりひとりを呼んで、個別に細かくコーチングをしていた。サイドにこだわっているなと感じました」(吉田)。

 もちろん、マンチェスター・Cは対戦相手によって、戦術や編成を自在に組み替えることもできる。サウサンプトン戦で見せた戦術は、その一手にすぎず、4−3−3、4−1−3−2、3−5−2など複数のシステムを使い分けることが可能だ。しかも、スカッドには質の高い選手が揃う。吉田も「(シティは)見る価値のあるチームだと思います」と手放しで褒めざるをえなかった。

 圧倒的な強さを示して昨シーズンのプレミアリーグを制したマンチェスター・C。その昨シーズンから、グアルディオラ体制はもう一歩、進化している印象を残した。

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