クラシコでメッシもロナウドもいない影響はどこに出ていたのか?

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小澤 マドリーがボールを循環させる中で、最終的にイスコがボックス深い位置に斜めに侵入してマイナスのクロスを入れたという点が、ひとつのポイントでした。バルサはどうしてもディフェンスラインが素早く横にスライド対応してきますので、マドリーは斜めの抜け出しに対して斜めのパスが入って、攻撃でもっとも大きなポイントになる「ニアゾーン」をとってマイナスにクロスを入れた段階でビッグチャンスが確実になったと思います。

 ゴール前にはベイルとベンゼマがいましたが、マルセロも左サイドからしっかりゴール前に入ることができたのも、3バックに変更した効果と言えます。最後はマルセロがうまく胸でトラップして、しっかりシュートを決めることができましたね。

倉敷 その後もマドリー攻勢の時間が15分間くらい続きます。バルセロナのバルベルデ監督は失点直後に修正点を選手に伝えていましたが、レアル・マドリーの3バックに対してどのような修正をしたのか、中山さんはどう見ていましたか?

中山 まずベンチから指示した段階では、おそらく相手が3バックに変更したのでまずは様子を見ること、そして自分たちがあまりリスクをかけて攻めるようなことがないように、しっかり相手の狙いを見極めることに集中させたのではないでしょうか。いずれにしても、マドリーのシステム変更によって突然ゲームが動き出したことは間違いなく、今回のクラシコのハイライトは後半開始から約30分間に集約されていたと思います。そこにこの試合の面白さが詰まっていました。

 小澤さんが指摘したイスコが斜めに走ってニアゾーンでボールを受けたシーンも、前半には見られなかったプレーでしたし、何もできなかった前半から見事に試合の流れを変えたという意味では、素直にロペテギの采配を賞賛したいですね。

倉敷 ゴールポストを叩いたモドリッチのシュートなど、マドリーはバルサ相手にもいつものように多くの決定機を作り出しましたが、決められない。危惧されていた通り、決定力を欠いたことが重くのしかかります。クリスティアーノ・ロナウドの幻影を見たファンも多いでしょうね。

小澤 モドリッチのポストを叩いたシーン以外にも、ベンゼマのヘディングシュートも決定機でした。そこをきちんと決められないのはマドリーにとっては痛かったと思います。今までは、そういったチャンスを逃さずにしっかり決めてきたことでチャンピオンズリーグ3連覇の偉業を果たしたわけですから。バルサよりシュート本数で上回りながら、逆にカウンターで仕留められてしまっているところが、今のマドリーのチーム実情を象徴していると思います。

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