今季絶不調のレアル・マドリーの問題点は、クラシコの内容に表れている (3ページ目)

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中山 そうでしたね。そもそもマドリーも本来は自分たちでボールを保持しないと良い形は作れないチームなのですけど、この試合では中盤の攻防でバルサに圧倒されていましたから、ボールを保持しながら攻めることがほとんどできていませんでした。数少ないチャンスにしても、パスをつないで相手を崩すのではなく、前線のベイルに1本長いパスを出してフィニッシュまで持ち込むといった形に終始していた印象です。とにかく、前半のマドリーは何もなかったというか、厳しい戦いを強いられていましたね。

 一方のバルサは、自分たちの形で多くのチャンスを作っていました。とくにマドリーの右サイドバックのナチョ・フェルナンデスの周りのスペースをうまく活用していて、フィリペ・コウチーニョ、アルトゥール、ジョルディ・アルバの3人で数的優位を作って、開始から面白いようにチャンスメイクしていました。バルサの先制ゴールも左サイド攻撃から生まれましたが、その前にも2回ほど左から大きなチャンスを作っていましたので、ある意味、この先制点はとても論理的なゴールだったと思います。

倉敷 マドリーが右サイドに問題を抱えていたというのは明らかだったと思いますが、ナチョとベイルの関係をどう分析しますか。

中山 この試合ではベイルが守備に戻り切れていないシーンが目立っていました。ジョルディ・アルバがサイドのスペースにスルスルっと出てくるのをベイルも認識していたはずですが、ナチョに指示を出すだけで、自分自身が戻ることをサボっていたように見えました。そこでナチョが遅れてサイドに引っ張り出されてしまうと、当然ですが、簡単にクロスを入れられてしまいます。しかもこういったシーンが頻繁に起こりながら、前半のうちに修正できていませんでした。

 基本的に、マドリーの前線のイスコ、ベンゼマ、ベイルの3人は、イスコが自由に動くことによって試合中に何度もローテーションするのですが、ボールを保持できない試合だと、どうしても守備に回ったときに戻るべき場所までの移動距離が長くなってしまいます。マドリーとしては、こういう劣勢の展開になったときは、ある程度スタートポジションを守りながら守備をセットするといった方法に切り替えるべきだったのではないでしょうか。

倉敷 小澤さん、対するバルセロナですが、チャンピオンズリーグのインテル戦で"メッシ抜き"のレシピをおおよそ完成させていた、ということでしょうか。

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