失われたモウリーニョのカリスマ性。
CLで明暗が分かれるプレミア勢

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki photo by Getty Images

 強力FW3人を活かしたリバプールの縦に速いサッカーは、国内リーグ戦よりCLに向いていそうだ。レアル・マドリード、バルサを向こうに回した決勝トーナメントの一発勝負に、打ち勝ちそうな勢いを感じる。真の安定感より爆発力。スペインの2大チームにとって嫌なのは、ジョゼップ・グアルディオラ率いるマンCよりこちらではないか。

 マンCは緒戦でリヨンに惜敗。心配させたが、その後、ホッヘンハイム、シャフタール相手に難なく2連勝を飾り、グループFで首位の座に就いた。ケガで戦列を離れていたケビン・デブライネも復帰し、これからも堅調に推移していきそうだ。

 モウリーニョとグアルディオラは正反対の監督だ。グアルディオラには「勝てば官軍」的な志向は一切ない。哲学や理念がある。敗れても何かが残るサッカーだ。その反面、バカになり切れないところがある。最近のリバプールと比較するとそう思う。理屈っぽいが故に勢いに乗りにくい。レアル・マドリード、バルサにとって、やりやすいのはマンC。そんな気がする。

 想起するのはかつてのアーセナル。当時のプレミア4強の中で、もっとも品のあるサッカーを展開したが、結局このチームだけ、欧州一の座に就けなかった。

 さらに個人的な感想では、トップが弱い気がする。センターフォワードのガブリエル・ジェズスだ。好選手かもしれないが、CL優勝を狙うチームのストライカーとしてはいささか弱い。安定感はあるが、チームとしてパンチ力に問題ありだと見る。CLの決勝トーナメントも進んでいくと、打ち負けそうなサッカーに見えて仕方がない。

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