必見のグアルディオラの戦術。CL制覇を狙うマン・シティ最大の特徴は? (2ページ目)

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倉敷 リヨンは準備してきたシティ対策を見事に実践していましたね。彼らと戦うならこのやり方が有効だ、というテキストを示したような試合でした。

中山 そうですね。まずこの試合をひと言で表現すると、「シティが緩かった」というところに落ち着くのではないでしょうか。ペップが家族と観戦しているということも、その緩さの象徴でもありましたし、選手の中にもおそらくリヨンに対して楽に勝てるという油断もあったと思います。

 それに対して、リーグ戦でなかなか調子が出なくてメディアやファンから批判を浴びていたリヨンはこの試合に賭けていましたし、倉敷さんが話した通り、戦術的にもしっかりと対策を練った形跡もうかがえました。通常、リヨンは4-3-3を基本システムとしていますが、シティ戦の前に行なわれたリーグ戦(対カーン戦)では、中盤の形を変えて4-2-3-1にトライしていて、それがシティ対策の実験だったのだと思います。

 また、人選の部分でも工夫があって、ボランチ2枚にはフィジカル、パワー、ボール奪取能力、推進力もあるパペ・シェイク・ディオプを大抜てきし、タンギ・エンドンベレと組ませたこと、そして右ウイングにサイドの奥深いエリアを突くためにマクスウェル・コルネを起用したことも、結果的に当たりましたね。

 ただその一方で、シティがもし本当に緊張感を持って戦っていたら、もう少し違った展開になったのではないかとは思います。実際、第2節のホッフェンハイム戦のインテンシティはリヨン戦の反省からか、明らかに異なっていた印象があります。

 試合というのは、チーム、選手のフィジカルやメンタルのコンディションによって、どうしてもパフォーマンスが変わってくる。おそらく実力的に言えば、シティとリヨンは2ランクくらいの差があると思いますが、チャンピオンズリーグに出るようなチームはそれなりの力を持ったチームなので、あれくらい緩い試合をしてしまうと格上チームも食われてしまうという典型例になってしまったのではないでしょうか。

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