香川真司が久保裕也を高評価。自らのポジション争いは「貪欲に」 (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by AFLO

 新しい選手も入ったなかで、(誰が主力か)わからないところもある。それをもっと貪欲に奪い取っていかないと。チームのなかのひとりとして、チームのために戦うという考えは、ある意味、捨てていかないと、こういうチームではポジションをとれないと思う。平凡でよければそういう考えがいいのかもしれないですけど、勝ち残っていくにはそういうところを貪欲にやっていかないと。今日も得点は取れたでしょうね」

 香川が「平凡でよければそれでいいのかもしれないが......」などという表現をするのは珍しい。そこにドルトムントで生き残ってきたことへの自負と、置かれている立場の厳しさがにじむ。

「得点は取れたでしょうね」と言ったのは何を指すのか、明確なシーンがある。88分、ユリアン・ヴァイグルが決めた7点目。左からジェイドン・サンチョが速いクロスを入れたのだが、その前の局面で、香川はゴール前へ、ヴァイグルはややマイナスの位置へと走りこんだ。サンチョは、ゴールエリア内でフリーになった香川ではなく、ペナルティーエリア付近のヴァイグルを選択した。

「(そのシーンでパスが欲しかったのでは?と問われ)そうですね。そういうことでしょうね。味方が(パスを)出したいと思わせるようにするには、結果もそうですけど、主張することもそうですし、練習から貪欲に表現していかないと。そこは非常に大事だと思いますけど」

 一時は移籍の話もあり、「なかなか集中し切ることが難しい時期もあった」と、香川は明かす。だが、今はドルトムントでプレーすることに集中できる状況になった。

「これからは(自分に)厳しくやっていきたい」と言う香川。まだ新加入の選手たちに負けるわけにはいかない。巻き返しはここからだ。



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