長谷部誠は出場機会なしでも明るい。
ポジティブ思考で香川真司と談笑

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 今季から指揮をとるアディ・ヒュッター監督は、システムとともに何かを変更しようとした。それが長谷部だったというわけだ。開幕戦では、「風邪のためベンチ外」という発表もなされたが、長谷部の捉え方は違った。

「あのときも、風邪で体調を崩しましたけど、その週の練習ではスタメン組から外れていたので、『出ないな』というのはあったんです」

 ドルトムント戦も、ベンチ入りこそしたが、出場機会はなかった。それでも明るい表情なのは、原因がはっきりしているからなのだろう。

 過去にも長谷部には、苦しみ抜いた時期がある。それは2012-13シーズン、フェリックス・マガト体制下のヴォルフスブルク時代だ。

 長谷部は移籍を試みて失敗し、GMを兼任するマガト監督から、見せしめのように練習から締め出された。プレシーズンから公式戦8試合にかけて、長谷部自身は「夏から4カ月間、干された」と認識していた。当時、取材に訪れても、長谷部は当然ながらピリピリしているし、マガトがメディアチェックを厳しく行なうことから、長谷部以外の選手やスタッフも発言は慎重になっていた。

 結局、成績不振を理由にマガトが更迭されたのと同時に、長谷部も戦線に返り咲いた。それに比べれば、今回の開幕から3試合出場なしというのは、深刻な状況ではない。本人が言うとおり、自分のパフォーマンス次第で解決可能だからだ。

 ドルトムントとの試合後、長谷部がベンチで、かなり長い間、香川真司と話し込む姿がモニターに映し出された。ベンチ外の香川は私服らしき姿で、長谷部はジャージ姿で、ともに笑顔を見せていた。

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