武藤嘉紀は苦境のチームに活気を与える。「信頼を確信に変えたい」 (3ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

 練習でも、みんなが信頼してパスを出してくるようになった。『コイツならできる』という感じにもなっている。入ってすぐのころは準備ができていなかったし、自分もちょっと焦っていた部分があった。W杯が終わって、ビザの関係でドイツにいないといけなくて。トレーニングも順調にできていなかった。いきなりチームに入ったから、全身が筋肉痛になったりもした。それでも、この1ヵ月でやっと周りの信頼が出てきた。本当にいいことだと思う。その信頼を確信に変えてもらえるように、試合で結果を出したい」

 入団から約1ヵ月が経過し、ニューカッスルでの生活も落ち着いてきた。新居が無事決まり、サッカーに集中できる環境が整った。まだ妻子は英国に合流しておらず、食事については「がんばって自炊しています」と言う。「自炊したことがほぼないから。ご飯を炊いて、お肉を焼いて、野菜を茹でて。シンプルですよ」と、不慣れな料理にも挑戦している。

 そんな武藤が囲み取材のなかで何度も口にしていたのが、「試合で結果を残すこと」だった。「練習でどれだけいいプレーをしても、試合で結果を出さないかぎり、この序列は変わらない」と、リーグ戦で先発出場のない苦しい状況を打破するには、ゴールやアシストの結果を残すしかないと自分自身に言い聞かせていた。

 そして結果を残せば、未勝利の続くニューカッスルを救うことにもつながる。信頼を確信に変える最良の方法は、やはりネットを揺らすことしかない。

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