武藤嘉紀は苦境のチームに活気を与える。「信頼を確信に変えたい」 (2ページ目)

  • 田嶋コウスケ●取材・文 text by Tajima Kosuke
  • photo by Getty Images

(記者:先制された後、勢いが急にガクンと落ちたが?)負けているチームの、よくある感じですよね。『1点取られた、もう終わった』みたいになってしまった。だからこそ、自分が入って、少しは流れをよくできればって思っていましたけど。2点差だったので、こういう強いチームが相手になると、ひっくり返せる可能性はだいぶ低くなってしまう。厳しいです」

 そうはいっても、武藤のプレーは効果的だった。中央の位置からサイドのスペースに抜け、味方からパスを引き出す。そして、仕掛けたり、前を向こうとする。すると、チームにそれまでなかった躍動感が生まれ、試合の流れが変わった。武藤も「今日は評価されるんじゃないかな。動きも悪くなかった」と手応えを掴んだ様子だった。

 こうした自信は、試合前にあった約2週間の国際マッチウィークのなかで徐々に膨らんでいた。9月の日本代表戦では、森保一監督の意向により海外組の主力は招集を受けていない。武藤もニューカッスルに残って練習に励み、この期間を有意義に過ごすことできたという。実際、国際マッチウィーク前のマンチェスター・C戦後には、「ここから自分がいきなりスタメンで出られるかといえば、難しいかと思う」と次節のアーセナル戦について語っていたが、2週間の練習を経て「スタメンかなと思っていた」と考えが変わるほど、充実していた。

「この1週間の練習で、本当に誰よりもよかったと思うし、誰よりもパワーがみなぎっていていた。『試合に出ている、出てない』にかかわらず、そのようなパフォーマンスを練習でも続けていければいいのかなと。やっぱり、人って慣れるもの。最初来たとき、練習でも『レベルが高い。これは厳しくなるな』と思ったけど、今では全然余裕でやれる。だから、あとはチーム内の序列に勝ち抜くために、試合での結果が必要。

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