2018.09.07

ネイマールも関係。18歳佐々木大樹が
パルメイラスに移籍した裏事情

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

ヴィッセル神戸からパルメイラスに移籍した佐々木大樹 photo by Nagata Yohei/AFLO SPORTS かつてカズ・ミウラ(三浦知良/現・横浜FC)もプレーしたことのあるブラジルの名門パルメイラスに、この8月、ひとりの若き日本人選手がやってきた(1年契約、パルメイラスはパスの30%を獲得)。ヴィッセル神戸に所属していた18歳のMF佐々木大樹だ。

 将来有望かもしれないが、まだ何の結果も出していない無名選手のビッグチームへの移籍には、首をひねる人も多かっただろう。ブラジルでは、残念ながら若いアジア人プレーヤーへの興味はほとんどない。安くて才能ある若手ならブラジルにはごまんといるからだ。

 これまでのパターンだと、日本人選手の獲得はジャパンマネーとマーケティングの拡大狙いというのがお決まりだったが、佐々木の移籍はそれとは異なる。そもそも佐々木にはそこまでのネームバリューはない。にもかかわらず、彼はこの夏のいち押しの選手としてパルメイラスやってきた。そこには新たな、そして現代的な”大人の事情”が隠されていた。まずは順を追って説明しよう。

 今回の取引の主役のひとつは日本のヴィッセル神戸だ。神戸は「神戸ビーフ」でブラジル人にもよく知られた町だ。またヴィッセルは、ルーカス・ポドルスキ、アンドレス・イニエスタを獲得したチームとして、楽天という有名企業がスポンサーについているチームとしても有名だ。

 ただ、世界的な選手がいて、世界的な企業がバックについているにもかかわらず、チームはJリーグで中位の位置に甘んじきた。そこでヴィッセルは、この状況から抜け出すために、新たに提携を結ぶチームがほしいと考えていた。

 もう一方の主役はブラジルのパルメイラスだ。巨大スポンサーCrefisa(信販会社)のおかげもあって、現在ブラジルでもっとも裕福なチームだ。チームを率いるのは名将ルイス・フェリペ・スコラーリ。これまで獲得したタイトルも華々しく、サポーターもブラジルで1、2を争うほど数が多くて情熱的だ。