スペイン代表とドイツ代表がうまくいっていない要因を探ってみた

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倉敷 すべての敗戦を精神論にすり替えてはいけないと思いますけれども、僕のイメージでいうと、ドイツはもっと戦える選手が多かったはずです。それは、たとえばドイツは育成がうまくいっている一方で、ひとつの方向に行きすぎていないか、つまり多様性を失いつつあるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

中山 どこのチームもそうなのでしょうけれども、結果が出るとすべてがよかったという話になるものです。たとえばエジルの件にしても、結果が出ている時は、ドイツはいろいろなものを受け入れたことによって強いチームが生まれたといわれていました。

 フランスにしてもそうです。結果が出ない時は内部分裂といわれ、結果が出たら今回のようにチームが団結したという評価になります。たとえばバンジャマン・メンディがSNSでバラバラの国旗を全部フランス国旗に変えたというエピソードもありましたが、そういうところが必ずあるのだと思いますね。そこは、裏表というか、背中合わせなので。

 ドイツは結果を出し続けることが義務みたいな国なので、さらに大変だと思います。それと、今回は同じメンバーでやりすぎてしまったところは否めませんね。テア・シュテーゲンの気持ちを考えたら、それは耐えきれないでしょうし、それこそチーム内にそのような火種がいろいろとあったのではないでしょうか。

倉敷 今回の強豪国に共通していた特徴ですが、特徴が明らかになっているチームほど研究されやすくて、そこを覆すほどの力がなかったチームは敗退していったという印象を受けますが、小澤さん、いかがでしょうか?

小澤 ドイツもそうですし、この後に話すスペインについても、ボール保持型、ポゼッション型のチームはことごとく相手に引かれて、それを崩せずに、逆にカウンターを食らって失点して負けるという同じようなパターンで負けていました。そこは顕著になっていたと思います。

 とはいえ、ここ1、2年で見た時には、スペイン代表のフレン・ロペテギ監督は直前で解任されましたが、彼はそこを踏まえてうまくプランB、Cを作っていましたし、引かれた相手に対する崩し方を構築していました。大会前の3月の親善試合でドイツとスペインが対戦しましたが、それを見た時も本当に代表チームとは思えないようなハイレベルな親善試合でした。それだけに、短期決戦のワールドカップの初戦で失敗してしまうと難しいということを、あらためて感じましたね。我々日本代表を見ても、初戦の重要性を痛感します。

倉敷 たとえば、ドイツやスペインの敗れ方に同じ特徴があるのだとすれば、もともとポテンシャルのあるドイツやスペインがそれを乗り越えていくための戦術を、今後も期待できるのでしょうか?

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