新旧W杯王者がいきなり激突。UEFAネーションズリーグって何?

  • text by Igawa Yoichi 井川洋一●文
  • photo by Getty Images

 もうすぐ、新旧W杯覇者の真剣勝負が行なわれる。ディディエ・デシャン監督率いるフランスが、モスクワでワールドカップ優勝トロフィーを掲げてからまだ2カ月も過ぎていない9月7日(日本時間)に、4年前の世界王者ドイツと対戦するのだ。翌日にはイタリア対ポーランド、翌々日にはイングランド対スペインも予定されている。豪華なカードが目白押しだ。

強豪が対戦する好カードが連続するグループもある強豪が対戦する好カードが連続するグループもある これらは「UEFAネーションズリーグ」という名の新たなコンペティションの試合である。代表戦の価値を高めるために、UEFAが今シーズンから導入する大会だ。

 欧州では(あるいはほかの地域でも)、W杯やEUROといったメジャートーナメントが近づかないかぎり、代表戦線に興味を持つ人は少なくなっていた。どれほどの黄金カードであろうと、結果が重要ではないフレンドリーマッチでは気持ちが入らない。

 それはファンだけではなく、選手も同じかもしれない。明らかに流しているようなプレーや、覇気に欠けるパフォーマンスが親善試合では珍しくない。そんな選手たちを必死に応援する人がいるだろうか。

 夏にシンガポールやアメリカ、そして欧州各都市で行なわれているインターナショナル・チャンピオンズカップの観客動員が減っているように、フットボールが飽和気味の現在、スター選手のプレゼンスだけに喜ぶファンは少数だ。その試合に意味がなければ、安くないチケット代を払って会場に足を運ぼうとは思わない。もっともな考えだ。

 親善試合はクラブの監督たちからも嫌われている。さして価値のない代表のフレンドリーマッチに選手が駆り出され、運悪くケガでもすれば、目も当てられない。クラブと代表の綱引きは以前から存在するものだが、近年は選手の待遇の高騰もあり、クラブの発言力が増している。

 フレンドリーマッチなんて、あってもなくても同じ。そんな意見が支配的になっていた。

 この状況を深刻に受け止めたUEFAは、7年ほど前から議論を重ね、2014年3月の総会でネーションズリーグの発足を満場一致で可決した。その記念すべき第1回大会が2018-19シーズンから始まるのだ(以降はW杯とEUROのない隔シーズンに開催される)。

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