プレミアリーグがあるからこそ存在する、イングランド代表の課題とは

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小澤 自分たちのやれることをきちんとわかっているチームでしたね。たしかに準決勝でクロアチアに負けた時は、プランB、Cがなかったことが露呈したとは思いますが、自分たちのサッカーは3バックで、基本的にロングボールを使いながら、あまりショートレンジのパスをつながないというところを徹底していました。

 ただ、ボールが2列目に入った時にはもっとコンビネーションを使うなり、ドリブルで崩すなり、そういうところの選手の使い方も含めて工夫が必要だと感じましたが、とはいえサウスゲイト監督は割り切ってあのやり方を貫き、最終的に困ったらセットプレーというところも徹底していましたから、逆に好感は持てましたね。いろいろなことをやりすぎて結局ぼやけてしまうよりも、ひとつの形を突き詰めたという部分で、今大会のイングランドの躍進、ベスト4入りがあったのではないかと思っています。

倉敷 中山さんはどんな風に見ていますか?

中山 まず、ラウンド16でコロンビアに勝ったことで、ひとつの大きな壁を突き破ることにつながったと思います。ただ、もちろん今回の結果も大事ですけれども、この国は選手がなかなか育たないということもあらためて感じました。

 どうしてもプレミアリーグは外国人選手が主体だから、自国選手が育たないと言われますが、もしデレ・アリなどが今大会でもう少し活躍していれば、少しそのイメージも変わったかもしれません。

 でも、現在世界のトップレベルにある下の世代がA代表の穴をしっかりカバーできるような環境ができれば、きっとこのチームは強くなると思います。プレミアリーグの現状を考えると、そこのポジションを奪うのはなかなか難しいかもしれませんが、最近はヨーロッパの他のリーグにイングランドの若い優秀な選手が移籍する流れも出始めているので、ベルギーがそうであったように、近い将来に何か変化が起きるかもしれません。

倉敷 イングランドの選手はあまり国外に出ませんからね。

中山 そういうところがありますね。でも、その流れができてくると、代表チームにも還元されて、常時もっと上を目指せる代表チームになるかもしれないという期待はあります。

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