2018.09.02

プレミアリーグがあるからこそ存在する、イングランド代表の課題とは

  • photo by JMPA

中山 驚きましたね。まず、スペイン戦では5バックにして、ある意味、この試合に関してはスペインのイエロ監督とは対照的な、素早いベンチワークも目立っていました。今大会から延長に入ると4人目の交代が使えるという新ルールもあって、後半は予め時間を決めていたように素早く交代カードを切って、次の準々決勝のクロアチア戦では試合中に3回もフォーメーションを変えていましたからね。

ゲーム展開や流れなどをすべて把握したうえで、そういった戦術変更をしていたので、マニアックな監督なのかもしれませんが、いい準備もしていたと思います。

倉敷 マニアックな戦術家というのは、うまくいく時といかない時があると思うんです。たとえば、ポーランドは同じような形を持っているけれども、「笛吹けど踊らず」になった典型的なチームになってしまいました。ロシアがうまくいっていたというのは、いいサイクルが働いている最中に、チーム内にいいモチベーションもあったと見ていいのでしょうか?

中山 そうですね。各選手が自分の持っている力を各試合で全部出しきるということがしっかりできていましたし、そのなかに規律や戦術的な統一感もあったので、結果的にいい内容のゲームが、決勝トーナメントでも2試合連続でできた大きな要因になっていたと思います。

倉敷 ロシアが勝った日は、地元のスーパーで5%オフのセールなどはなかったんですか?

中山 それはないですが、おそらくビールなどいろいろな物が売れたと思います。大会途中からは、街中でもロシア国旗を手にしている人やロシアのTシャツを着ている人が急増していましたから。

倉敷 ワールドカップでその国が消費するワインの量、チーズの量など、経済効果がかなりありますから、ロシアの場合はウォッカやイクラの消費量が上がったという話にもなってきますね。

 小林君、ロシア国内の報道をリサーチしていて面白かったこと、何か興味深かったことはありますか?

小林 まず基本的に、チェルチェソフ監督に対する評価は高かったようです。たとえば、初戦はフョードル・スモロフをFWにして戦ったものの、彼の調子を見極めてすぐにFWを入れ替えたり、大会前は3バックで固定していたにもかかわらず、本番では4バックにしたり、5バックを使ったり。それと、アレクセイ・ミランチュクと心中するのかと思っていたら、彼を使わないでゴロビンを中心にしたり。

 チェルチェソフ監督は選手のセレクションも上手だったと思いますし、調子のいい選手、悪い選手の見極めも非常に上手だったと思います。倉敷さんもおっしゃっていましたけど、それとは対照的にポーランドはそこが失敗したと思いますね。とにかく、ロシアにとっては本当にいい大会になったと思います。