マルディーニ、レオ...ミラン幹部に
レジェンドたちが呼び戻された思惑

  • マルコ・パソット●文 text by Marco Pasotto 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

「UEFAのフィナンシャルフェアプレーのルールにのっとりながら、財政と経営を安定させ、それを保ち、ミランに体力をつけさせ、投資するにふさわしいクラブチームにする」とは、彼が名刺代わりに述べた言葉だ。ミランをまるで息子のように愛していた(それがチームのためになったかどうかは別として)ベルルスコーニとは、大きな違いだ。

 エリオットにとってミランは投資の対象以上でも以下でもない。それをミラニスタたちがどう受け止めるかが懸念されたが、その点でもエリオットは抜かりがなかった。彼らは新生ミランの顔に、歴史を築いてきた多くのレジェンドたちを呼び戻したのだ。

 その名前を聞くだけで、その顔を見るだけで、ミランの黄金時代を彷彿させる者たち。かつてミランでプレーし、監督や幹部も務めたブラジル人のレオナルド。そしてミラニスタにとっては永遠のキャプテン、ミランの生ける伝説パオロ・マルディーニだ。レオナルドはスポーツディレクター、マルディーニはスポーツ部門戦略ディレクターに就任した。また、ミランで一時代を築いたカカの参入も画策されている。

 裏にどんな思惑があれ、チーム周辺は今回の変革をポジティブに受け止めている。記者会見でもジェンナーロ・ガットゥーゾ監督が、レオナルドやマルディーニの存在が選手たちにやる気を与えているとコメントした。

「彼らの姿をピッチで見かけると、選手たちはとても興奮するんだ。パオロも選手たちとよく話すし、選手の経験が長いから、何を話したらいいかもよくわかっている」

 選手側からも歓迎の声が上がっている。今シーズンから加入したGKホセ・マヌエル・レイナはもう36歳のベテランだが、「レオナルドとマルディーニの間にいると、緊張で手に汗をかいてしまうよ」と、まるで少年ファンのようだ。

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