世界トップクラブのレギュラーだらけ。日本代表が負けたベルギーの魅力 (3ページ目)

倉敷 スペイン代表が敗退してしまってから、スペイン国内では次期代表監督候補にロベルト・マルティネスの名前も挙がっていたようですが、評価を大きくあげた大会になったのではないでしょうか。

小澤 スペインが負けてからロベルト・マルティネス監督がラジオでインタビューに出てくる機会も多くなりましたし、まだベルギーが勝ち残っている段階から「次のスペイン代表監督をやってくれないのか?」という話が出ていましたね。スペインのメディアとしては、いい監督がベルギーにいるなんてもったいないという目線で見ていたと思います。

倉敷 僕のロベルト・マルティネスに対する印象は、ウィガン・アスレティックというイングランドのチームを降格から巧みに救ったところで止まっていましたが、随分プラスの要素が加わりました。

 ベルギーのパワーアップに関するアプローチの面白さについては何回か触れていますが、カッコウの托卵のような印象があると思います。カッコウは、モズやホオジロなど他の種類の鳥の巣に卵を産んでひなを育てさせるんですが、ベルギーもユース年代から各国の強豪リーグに移籍させて、そこで育った選手を代表に戻してくる。ベルギー代表にはそういう選手が何人もいてひとつの特徴になっていますね。

中山 エデン・アザールなどはまさにその象徴ですね。彼はフランスのリールというベルギーに近い街のクラブに少年期に移って、リールの育成フォルマシオンで育てられて一流選手になっていったわけです。ただ、たとえば今大会でも数試合プレーしたユーリ・ティーレマンスというモナコでプレーしている若手選手などの世代は、ベルギー国内で育った選手です。

 つまり、国外で育てたものからスタートして、その間に国内の育成を整備するという、そういった育成改革をしっかりやったおかげで次の世代も生まれてくるという、現在のサイクルに入ったと見ています。

 以前のベルギーは、たとえばエンツォ・シーフォの時代があって、その後スター選手がいなくなると一気にどん底に落ちるというパターンが繰り返されていましたが、現在のサイクルはしばらく続きそうだと言われています。

倉敷 小澤さん、今回のロシア大会の監督をタイプで大きく分けると、ひとつのかたちを持っていて攻め込んでいくタイプの監督と、相手によって戦い方を使い分ける監督がいると思いますが、マルティネス監督は後者と見ていいですね。

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