未来が明るいフランス代表。W杯王者の強さを徹底分析した

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倉敷 たとえば才能を見せつけることもできるポグバのような選手が、すこしもエゴを出さずに戦った。こういった選手たちの精神面のコントロールが、デシャン監督のすごさだと思いますし、フランスには同じタイプのジダンというレジェンドが、次の監督候補として控えています。これは、フランス黄金期の到来もありそうですね。

中山 デシャンはすごく教育者的な部分があるので、今回も若い選手たちにいろいろなルールを作って、チームをひとつにまとめることを徹底しました。今回は、その影響でみんなが成長しましたし、いずれはフランスが真のタレント軍団になった時に今度はジダンがレアル・マドリーでやったようにうまく彼らをコントロールすることで、フランスの黄金時代が続くかもしれないですよね。

倉敷 小澤さん、気の早い話ですが、フランスの4年後についてどう見ていますか? このままいけば、ワールドカップ連覇を狙えるチームに育ちそうな気はするんですけど。

小澤 当然このままレベルアップしていくチームであり、選手たちですので、4年後は優勝候補の本命として出てくるでしょうね。あるいは、すぐに始まるヨーロッパのネイションズリーグでも、主役として注目度の高いサッカーを見せてくれるでしょう。

 その一方で、今大会を踏まえて、個人的には今後のフランスがどのようなかじ取りをしていくのかに注目しています。今回はかなり守備に比重を置いて、本来ボールを保持して主導権を握るようなサッカーができる選手層があったなか、デシャン監督はあえて守備的に戦いました。それによって今回は優勝したわけですが、今後はもう少し意欲的に攻撃的に行くのかというところは、少し気になりますね。

倉敷 今大会は、分析力が大きなポイントになっていたと思いますが、フランスにおいてはどうでしょうか? そういったマネジメントや分析が、即座に試合に反映されていたかという印象について伺いたいんですが。

小澤 個人的には、その辺がきちんとできていたから優勝できたのではないかと思っています。実際にテクノロジーをベンチで使って、ベンチワークとして選手たちに伝達していたのかという部分までは具体的に我々には見えてこないですけど、ベルギー戦(準決勝)を見ていても、やはり選手たちが相手の出方によって自分たちの配置を変えながらプレーできていたと思いますし、時間帯によって守っていこうという時には3ラインをコンパクトに縮めて守り切っていました。

 そういう瞬時の判断を見ると、おそらくベンチの指示がなくても、選手たちは普段から所属クラブでそういうことをやって戦術バリエーションを豊富に持っていたということなのだと思います。そういう意味では、ベンチからの指示と、ピッチでプレーする選手たちのレベルが両方高くなければワールドカップでは勝てないことを痛感しましたね。

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