ベルギーリーグで豊川雄太が今季初ゴール。
久保裕也の移籍を祝福

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

 久保のヤング・ボーイズ時代のプレーを分析したゲントのハイン・ファンハーゼブルック監督は、1トップ2シャドーシステムの「シャドー」として機能する選手として2017年1月末に獲得した。2016-2017シーズン、ゲントは3位に終わったが、ファンハーゼブルック監督は「もし裕也が最初からチームにいてくれたら、ゲントは間違いなく優勝していた」と私に力説した。

 そのファンハーゼブルック監督が2018-2019シーズン序盤に成績不振の責任を取って辞め、イヴ・ファンデルハーゲ新監督が就任すると、4-2-3-1もしくは4-3-3が採用され、久保にとって最適なポジション探しも始まった。だが、右ウイングは失敗し、トップ下で調子を取り戻したものの、今度は守備の要求が過多となってふたたび不安定となる。最後は「偽の9番」として一瞬、輝きかけた。

 久保とファンデルハーゲ監督とのマッチングは、ベストではなかったかもしれない。それでも、ファンデルハーゲ監督はいかにして久保を自身のシステムにはめ込むか、腐心していたのはわかる。しかしながら、ファンデルハーゲ監督は開幕から結果を残せなかった久保を「3番手の選手」にする判断を下した。そして久保も、プロフェッショナルとして決断をした。

 久保の姿がないスタジアムで、豊川は彼の移籍をこう言って祝福した。

「全然(久保との直接対決が)実現しませんね。でも、ステップアップ。いいですね」

 サッカーの世界は広く、狭い。ミリセビッチとゲントのサポーターがふたたび交わったように、彼らもまた、どこかで邂逅(かいこう)する日が来るだろう。

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