ベルギーリーグで豊川雄太が今季初ゴール。久保裕也の移籍を祝福 (2ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

「実は、マケレレ監督には自分から『代えてほしい』と言ったんです」と豊川。第2節のシャルルロワ戦で、豊川は足をつって交代を要求したのだが、結局、最後までピッチに残ってプレーした。その影響が残って筋肉が固まり、後半は違和感があったのだという。

 本人も試合前からフル出場は無理だと悟っており、「最初から飛ばして、いくところまでいく」と覚悟を決めてプレーしていた。そんな事情をサポーターは知らないだろうが、エネルギッシュに足を止めずに動き回るだけでなく、口も止めずにチームメイトを鼓舞し、さらにはチャンスにも絡む豊川を愛しているのは明白だ。

「うれしいですね」

 サポーターの反応に対し、豊川はこう語る。ただ、チームは2-3で負けたこともあって、「まだまだですね。点は獲りましたけれど、俺はやっぱり、勝たせる選手になりたいので。先は長いです」と言って気を引き締めていた。

 本来、トップ下を務めるダニイェル・ミリセビッチは、ゲント戦では右サイドハーフとしてプレーした。彼はゲント時代に鮮やかなパスワークやゲームメイク、セットプレーでファンを魅了して「将軍」と呼ばれ、2014-2015シーズンのゲント優勝に大きく貢献した選手だ。

 しかし、昨季はトップ下のポジションを久保裕也に奪われた時期もあり、ミリセビッチは出場機会を求めて冬の移籍市場で川島永嗣のいたメス(フランス)に期限付き移籍していった。そして、今季はオイペンの一員として豊川とチームメイトになった。

 今回のオイペンvs.ゲントは、ミリセビッチにとって愛する古巣との戦いだった。試合が終わり、両チームの選手はミリセビッチをのぞいてロッカールームに引き上げていった。ゴール裏のゲントサポーターは、ミリセビッチのチャントを延々と歌い続ける。それを感極まったミリセビッチが時おり手を振りながら、それを聞き続けていた。

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