もはや異星人扱い。ロナウドの
セリエAデビュー戦に特殊部隊も出動

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 エイリアン級だというロナウドの名前は、得点者のところにはない。しかしロナウドは、どんなに厳しい目で見ても、まぎれもなくこの日のMVPだった。ボールを触った回数こそ多くはなかったが、ボールが彼のところへ来たときには、彼はほんの一秒たりとも躊躇することなくシュートを放っていた(全部で8本)。

 だが、キエーボのGKステファノ・ソレンティーノは、ロナウドに触発されたのか、この日は神がかったスーパーセーブを連発した。ソレンティーノがこれほど絶好調でなかったら、ロナウドのデビュー戦はまた別の物語になっていたろう。

 ロナウドはまだチームに合流してから日も浅いし、コンディション調整も他の選手に比べて遅れている。それでもよく走り、最後の最後まで手を抜かずにプレーしたことは高く評価できる。また、パウロ・ディバラとの相性のよさが垣間見えたことは、ユベントスにとってうれしい兆しだった。

 一方で、ユベントスがこの開幕戦で、チームが以前から抱える大きな短所を露呈させていたことも見逃してはならない。アントニオ・コンテが去り、マッシミリアーノ・アッレグリが監督に就いて以来、ずっと修正できていない欠点だ。

 ユベントスは自分たちが強いことを知っている。そのため、リードした途端(キエーボ戦はすでに前半3分にリードしている)、選手たちは無意識のうちに「試合はもう決まったも同然」と感じてしまうようだ。そのため、以降は緩いボールを回したり、バックパスを頻発したりと、闘志がガクリと落ちてしまうのだ。

 これは致命的なリスクをはらんでいる。なぜならテクニックで劣るチーム(まさにキエーボがそうだった)は、ユベントスにリードされたら、もう失うものは何もなくなる。やるべきことはひとつ、ただ全力で攻めるだけだ。

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