仏リーグは今季もPSGが本命。
唯一の不安はネイマールと新監督の相性か

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 トゥヘルといえば、マインツ(2009年~2014年)時代やドルトムント(2015年~2017年)時代を見てもわかるとおり、同じメンバーとフォーメーションを続けて使わないほど多彩な戦術を操ることが特長の指導者だ。どちらかといえば、スター選手を揃えるビッグクラブを率いた経験のないエメリに近いタイプと言っていい。

 それだけに、監督が求める戦術に異を唱える選手たちが増えていき、結果的に選手がプレーしやすい戦術を採用するに至った前任者と同じ轍(てつ)を踏むのではないか、という不安の声もあがっている。その意味では、PSGが連覇を達成できるかどうかは、トゥヘルがシーズン序盤戦をどのような戦術で戦い、同時に結果を残せるかどうかが極めて重要になる。

 それを理解してか、トゥヘルは就任が正式発表された5月に、さっそくチームの大黒柱にして最大のスター選手であるネイマールとの会談の場を設けたほどだ。そこで具体的にどのような話し合いが行なわれたのかは明らかになっていないが、少なくともネイマールと理解し合えるかどうかがトゥヘルの最初のハードルになることは間違いない。

 ただ、希望の光となっているのは、エメリと違ってトゥヘルが攻撃的サッカーを標榜する監督である点だろう。実際、若手中心で臨んだインターナショナルチャンピオンズカップ(プレシーズン大会)では、3-4-2-1と3-4-1-2を併用しながらPSGにとって新タイプの攻撃的サッカーにトライし、その成果も出始めている。さらに、8月4日に行なわれたモナコとのスーパーカップでは、4-3-3を採用して4-0と圧勝。まだスタメンの半分がレギュラー組ではなかったものの、開幕に向けて順調な仕上がりを見せている。

 そんなPSGの対抗馬と言われているのは、「若手主体のチーム作り」というクラブの方針を貫いて強化に成功している、モナコとリヨンの2チームだ。

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